シゲーニョ

LEGO(R) ムービーのシゲーニョのレビュー・感想・評価

LEGO(R) ムービー(2014年製作の映画)
3.5
2014年、巷ではアナ雪の「レリゴー」が四六時中そこかしこで流れる中、自分の脳内ヘビロテ曲は本作の主題歌「Everything is Awesome!!!(=みんな同じって最高!)」だった・・・。

個性も主張もない凡人(ダメ男)が、実は「選ばれし者」だったという物語は別段珍しくもないし、「無思考を思考に変えて、体制支配をブチ破れ!」という展開はモロに「マトリックス(99年)」だ。

しかし、本作はいかめしく構えて観るような映画ではない。(そもそも、レゴ自体が8歳から14歳ぐらいを対象としたオモチャだし・・・笑)

何せ主人公エメットが潜水艦が水没するか否やという大ピンチの時、師とする魔法使いから「他人を気にするな。自分を信じろ!」と言われ、初めて自力で考え作り出したのが、なんと、二段ソファ!!!

(注:レゴワールドの中で「自由な創造力」を持つミニフィグ=住人は、身の回りにあるレゴブロックで、武器や乗り物を作り出すことが出来るという設定・・・)

狭い部屋で友達と一緒にTVを観る時にあれば便利という、此の期に及んでボケにもならない理由。ただし結果的に、そのソファが窮地を救うことになるわけだが・・・。


自分はプラモや通販で買った家具など、マニュアル(取説)通りの順番で、完成見本図のように組み立てないと気が済まない、どちらかといえば「おしごと大王」派なわけだが、鑑賞後には「自由に創造することの素晴らしさ・尊さ」を随分昔に置き忘れてしまったと、思い直した次第である。

終盤のメタ構造に驚かされたのは当然ながら、やはり目を引いたのが圧倒的なビジュアル。登場人物、建物や乗物は勿論、太陽や雲、波や煙、炎までスクリーンに映るもの全てが(CGアニメーションによる)レゴのパーツで出来ている。

また、ミニフィグのゲストも豪華。
DCコミックスの重鎮であるグリーンランタンが、主演作が大コケしたことをイジられるのには大爆笑!
(「グリーンランタン(11年)」の製作スタジオは本作と同じワーナーだし、スーパーマンは不幸が伝染ると言って逃げ回る・・・)

そして、ハイパードライブを盗まれたミレニアムファルコンが「帝国の逆襲(80年)」のスペース・スラッグに呑み込まれるのも、ツボにハマった。

脚本と監督を務めたフィル・ロードとクリストファー・ミラーは、前作「くもりときどきミートボール(09年)」でもダメ男の成長譚をツイストを効かせた展開で秀作に仕上げた才人である。

だからこそ、彼らには降板せずに「ハン・ソロ/スターウォーズ・ストーリー」を最後まで撮り上げて欲しかった・・・。

スターウォーズサーガの中で、一番のダメ男で(自惚れ屋で自信過剰気味・他人の意見を聞かない・女心が分からない・お金が一番大事 etc)、人間的魅力に溢れているのが、ハン・ソロなのだから・・・。

最後に・・・

主題歌「Everything is Awesome!!!」について。

ティーガン&サラ(同性愛者の双子姉妹)が歌うオープニングは、テクノ風アレンジと皮肉な歌詞が相まって、全くもって最高の一言に尽きるが、
エンドロールに流れる作曲者ショーン・パターソン自ら歌ったアンプラグド・ヴァージョンも一味違って、グッと心に響いてくる名曲となっている。