Hiroki

ファインディング・ドリーのHirokiのネタバレレビュー・内容・結末

ファインディング・ドリー(2016年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりに劇場でめっちゃ泣いてしまった。
簡単に話を総括すると、病的なまでに忘れっぽいドリーが、ある日両親の存在を思い出して会いにいくという話。

いきなり感想に入るけど、感動で泣いたと言うよりも、自分と重なって日々感じている辛さを思い出して泣いたって感じかなぁ…。中盤ドリーが両親と再会を果たした時に言い放った「ごめんなさい私が悪いの私は1人で何にも出来ないすぐ忘れちゃうからダメなの…ごめんなさい」というセリフが、普段から感じている「他の人みたいに出来ない、自分のせいでダメだ」という自分の思いにブッ刺さった。これは俺が特別劣等感を感じているから刺さったとかいうわけでもなくて、誰しも抱えている劣等感と、その困惑に対する正直な反応をまさに目の前で見せつけられる演出だったから感情移入できるんだと思う。

これに関してもう1つ、ドリーに対する周りの反応がリアル過ぎて本当に辛かった。ドリーは劇中何回も迷子になって周りに助けを求めるんだけど、殆ど誰も取り合ってくれない。無視したり、迷惑そうな顔をして去ったり、どうしたの?と声をかけてもドリーが何を聞こうか忘れてあたふたしていると「それじゃあ助けられないよ。じゃあね。」と去って行ったり…その度にドリーがごめんねあたし本当に忘れやすいのごめんねと何回も謝る様が日常で起こるいろんな場面にオーバーラッブして辛かった。これが上の部分で述べたドリーが謝罪をまくしたてるシーンへ繋がってるんだよね。無視されても気丈に振舞ってジョークで返したり、あまり落ち込んだ様子を見せずにごめんね〜と謝っていた彼女は、ただのバカではなくて無理して明るく振舞っているだけだったことが上のシーンでわかるようになっている。辛い。

辛い場面ばっかり書いてるな…。
物語で登場するキャラクターの殆どが自分の体や能力にハンディキャップを抱えているんだけど、実はみんな出来ないって思い込むことで能力の制限をかけているだけで、後半はコンプレックスを解消してトラブルを解決していく。
ここに映画のテーマがあると思っていて、「問題は能力が無いことではなく、能力がないからダメだと思い込んで自分に制限をかけてしまうことが1番ダメだ」これがドリーで監督が1番伝えたかったことだと思う。
これは見たあとに調べて分かったんだけど、ラストでトラックが落ちてくるシーンでかかる曲はルイ・アームストロングのwhat a wonderful world。この映画に相応しい曲だと思った。

上手く書けないけれど、割とコンプレックスを感じがちな自分としては心の奥深くに入ってくる映画だった。なんとなく見に行ったのに、劇場で1人泣かされた。
最近のピクサーはマイノリティ寄りという話を聞いたけど、むしろこの映画に関しては誰もが抱える暗い部分に目を向けた、という意味で万人寄りといってもいいんじゃないかな。もちろん今までのようなハッピーなテーマの映画ではないけれど。

ただし、ドリーのハンディキャップを拡大解釈せずに、ただ1つの不自由な存在にスポットが当たったと考えると、確実にマイノリティがテーマになった作品だし、やっぱりだからこそ刺さったのかなぁなどと見たあとに自分の述べた解釈と真逆の解釈を行ったり来たりしているのでした。笑
心に残る素晴らしい、自分にとっては最高の作品でした。ピクサーありがとう!!
Hiroki

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