しばいぬたろう

シンデレラのしばいぬたろうのネタバレレビュー・内容・結末

シンデレラ(2015年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

『シンデレラ』(’15)
Cinderella / アメリカ合衆国 / 英語

ディズニーアニメ映画『シンデレラ』(1950)を実写化した作品。
公開当時は、ディズニー公式の実写化であることや美しい映像・CGが話題にもなっていた。

物語展開に関しては凡作で、特筆することは無い。
しかし、本作では原作とは違う展開を入れており、王子とシンデレラが既に知り合いという点や、大公がかなり悪者という点。
陰謀展開や計算高く妥協しようとする点は、ディズニーファンタジーらしからぬ印象を受けた。

ヒロインに起用されたのは、英国ドラマ「ダウントン・アビー」で主要メンバーを演じたリリー・ジェームズ。
ハキハキとしており、笑顔の可愛らしい女性なため、シンデレラよりもアリエルやラプンツェルの方が似合う。
煤だらけになっても華やかな雰囲気であるため、その点は申し分ない。
王子様に関してはあまりインパクトなく平々凡々だ。
脇を固めるヘレナ・ボナム=カーターとケイト・ブランシェットに関しては圧倒的オーラを放ち、その分周りが霞んでしまったというのも否めない。
ヘレナ・ボナム=カーターは黒いキャラも白いキャラも演じられる万能女優なだけに、本作のような優しい魔法使いのおばさんを演じても全く問題無し。
老けない魔女ケイト・ブランシェットに関してはゴージャスすぎて、幸薄な継母役に合わないと思っていたが、演技力で幸薄さもカバーしてしまう。
義姉二人も良かった。
大公ステラン・スカルスガルドは、やはり悪役が似合う。
王子が信頼する大佐は、アニメ版では存在しない役であるが、本作では重要な役どころである。
申し訳ないが、彼の存在意義がわからなかった。
アニメ版よりも王子が行動的なため、そのサポートとして必要だったのかもしれない。

アニメ版と比べてしまうと、どうしても「完全実写化」が希望だった。
時代に則して演出を加えたりするのはわかるのだが、それでも根本であるミュージカル調にしてほしかった。
せっかく歌唱力も問題なさそうな演者が集まっているのに、もったいなくも感じた。

アニメ版同様、猫やネズミも登場し、彼らのくだりもアニメーション通りで楽しめる。
映像美とロマンチックなシンデレラストーリーもしっかり楽しめる。
映画のイメージカラー(?)の(コバルト)ブルーがとても美しい。

個人的に、いつも「シンデレラ」を見ていつも思うことだが、大勢の人から注目を浴びて王子様とダンスできるシンデレラは、そもそもがかなり肝の据わった女性だと思う。

原作よりも、本作は「あざとい女子」を押しのけて幸せを勝ち取る「あざとい女子」の物語に感じてしまった。
王子が無駄に露出したせいということもあり、どっちつかずになってしまったことは否めない。
原作でも、ちゃっかり動物たちをこき使うシンデレラだったが。

原作のようなコメディ路線をを含めるために、王様と大公様あたりにジャック・ブラックを据えたら、緩急があって楽しめたかもしれない。
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