くりふ

シンデレラのくりふのレビュー・感想・評価

シンデレラ(2015年製作の映画)
3.5
【でも馬車は成金趣味】

決まった物語にどうツイストをかけるか、しか見所はなかったですが、こう来るか、というへぇー感はそれなりにあって、見ている間はけっこう楽しめた。テンプレート変えられないせいか、終わってみると何だか芯のない(自我のない)映画だなあ…とも思ったけれど。

まず、母ちゃんをできた女性にしちゃったから、父ちゃんの女を見る目がゼロゼロなことに呆れますね。なぜあの後妻を迎えたか謎。財産持ってたわけでもないんでしょ?かーなり無理やり感ありました。

シンデレラと王子に「お見合い」させたのはわかる。これで、舞踏会で美しかったから見初めました…てなんだ、結局見た目かよ!というアホ展開がなくなった。

しかし王子、あれで虜になるなんて、どんだけ出会い少ないんだ。ひょっとしてこれもヒヨコの刷り込みでは?

継母の人生背景を少し濃くしたのもよかった。彼女をそこまで追い込んだのは何だったのか?に対して想像力が働く作りにしていますね。演じるケイトさんも大したものですが、彼女なら普通にできちゃう役で驚きはなかった。ヘレナさんの方がチャーミングで儲け役だと思う。

全般、女性が豊かで実に女性映画なのだなあ、と感じ入ります。男はつまらないですね。王国は経営難の会社みたいでその維持ばかり気にしている。…なるほど現代の映画ではある(笑)。

魔法で次々変身するシーンはさすがにウットリ…できるかと思ったら馬車でのけ反った。

好みもあるでしょうけどさ、なんすかあのキンキラキンのぜんぶ金!お金がすべてじゃないとか言ってなかったか?この妖精は大阪のオバチャンなのかしら(←偏見)。

あの観音扉の奥に怪しい仏像祭ってそうにも見えるわ。何にせよお下品よ!一気に冷めたじゃないの。アニメ版の方がずっと可愛らしくて夢あるざます!

<アニメと実写比較トレーラー/意外と要所明かし未見の方注意>
https://youtu.be/R8ZLo7rHr0o

シンデレラのキーカラーを青にした真意は知りませんが、まず幸運の青い鳥で映画を始めたのは狙いでしょう。で、鮮やかだけれど、青は冷静さや知性を表し、鎮静効果がある色。シンデレラの位置づけを考えると納得です。

まずは耐える彼女。そして作中、彼女が一番バランスの取れた人物になっている。勇気とやさしさを忘れるな、という母の教えは、言い換えると攻めと守り。このつり合い。キレかかったりもするけれど、決して道を外さぬシンデレラに、青は実によく嵌ります。

ちなみに、彼女の強さは母役のキャスティングにも秘密がありますね。だってペギー・カーターの娘ってことだもん!(笑)

終盤に近づくとまた、ありのままというキーワードが出てきて(笑)、ディズニーはもうレリゴーイデオロギー一本槍か…と苦笑したけれど、レリゴーなら灰かぶり姫の由来明かすんだから、肝心なところは本名名乗れよ!と思いました。これ、かなり気になります。

そういえば、大国に囲まれた小国の王室に嫁ぐ平民娘…ということでグレース・ケリーを思い出した。ラストでちょっと、彼女を連想させる画もありますね。

…あ、なんかダラダラ書いちゃったので、まだあるけどこのへんで。

前座のアナ雪短編は、あのアナ雪新作!と騒いだ割には、単なるホームムービーでした。相変わらず、あの城は警備も見当たらず人もおらず、運営どうなってるやら謎ですね。

女王の妹の誕生日ってのに、街に出ても閑散として祝賀ムード皆無。最後に集まったのがサクラに見える。これがレリゴー続けた結果か…と妙に納得してしまいました。

<2015.5.9記>
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