kkkのk太郎

シンデレラのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

シンデレラ(2015年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

誰もが知っているプリンセス・ストーリー「シンデレラ」を実写映画化。1950年公開のディズニーアニメ『シンデレラ』のリメイク作品でもある。

意地悪な継母と義姉たちに虐められながらも希望を捨てずに生きる女性エラ。王子キットとの偶然の出会いが彼女の運命を変えてゆく…。

監督は『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(出演)や『マイティ・ソー』(監督)の、俳優としても活躍するレジェンド映画人サー・ケネス・ブラナー。

過酷な状況でも勇気と優しさを忘れない女性、灰かぶりのエラ(シンデレラ)を演じるのは『タイタンの逆襲』やテレビドラマ『ダウントン・アビー』シリーズのリリー・ジェームズ。
シンデレラの継母、トレメイン夫人を演じるのは『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズや『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の、レジェンド女優ケイト・ブランシェット,AC。
シンデレラに惹かれる小国の王子、キットを演じるのはテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズの、名優リチャード・マッデン。
信じる者の前に現れる大妖精、フェアリー・ゴッドマザーを演じるのは『チャーリーとチョコレート工場』や『ハリー・ポッター』シリーズの、名優ヘレナ・ボナム=カーター,CBE。

2010年代に入り活発化したディズニークラシックアニメーションの実写化計画。
『美女と野獣』(2017)や『アラジン』(2019)など、超有名タイトルは何本か鑑賞したが正直どれもパッとせず…。
「今更シンデレラはないだろっ💦」と思い、今作には特に期待していなかったのだが、予想外にも楽しめてしまった。

監督はケネス・ブラナー。ケネスの映画には「優等生的だがパンチに欠ける」という印象を抱いていたのだが、今回はなかなか外連味の効いた演出に挑戦しており素直に面白い。フェアリー・ゴッドマザーから舞踏会までのシークエンスには心の中の女の子が目覚めてしまうほどにときめいてしまった✨
さすがはシェークスピア俳優のケネス。中世ヨーロッパものは大得意って訳ですね。

とはいえ、物語の筋は皆んなが知っている1950年のアニメ版とほとんど一緒。そう言った意味では退屈な映画である。
一応王子の物語が描かれていたり、大公が新たな悪役として設定されていたりと新しいことはしているのだが、それら王国周りの追加要素はことごとくつまらない。
アニメ版のランタイムが75分程度なのだから、余計な物語を追加するなどということはやめて、せめて90分くらいの尺に纏めて欲しかった。

映画の大筋は同じだが細かい点には現代的なアップデートが施されている。
実写化にあたり、中世ヨーロッパでは男性との結婚だけが女性の生きる術であった、という点が強調されており、クレメイン夫人はその社会構造に適応してきたが故に心が歪んでしまった人物として描き直されている。
若く清らかで美しいエラに過去の自分、醜く歪んでしまう前の自分を見出し、だからこそエラに対して必要以上に強い嫉妬心を抱いてしまうというクレメイン夫人の人物造形はなかなかに秀逸である。

また、アニメ版ではブスに描かれていたドリゼラとアナスタシアの姉妹は、本作では容姿は美しいが心がブスというキャラクターにチェンジ。ルッキズムに依らない物語になるようになんとか頑張っている。
ただ、この点に関しては正直あんまり上手くいってはいない。性格ブスという設定なんだから、あんなにドギツいメイクとファッションにしなくても。結局この姉妹がブスに見えてしまい、美しいエラが王子様を射止めたというルッキズム的構造からの脱却は成されていなかった。
反ルッキズムな物語にしようとしている努力は認めるが、それならあの太ったオバさんの足が臭いというギャグは不要だよな、とか思ったり…。若干チューニングがズレてる。

まぁなんじゃもんじゃと書き綴ってきたけれど、結局のところこの映画はこの一言に尽きる。
…リリー・ジェームズが可愛いっ‼︎ドンッ💕
主役のプリンセスが可愛い。これが一番大事〜♪

数多いるディズニープリンセスの中でも、やはりシンデレラは別格。その気品や美しさ、スター性に比肩する者なしな訳です。まさにプリンセス・オブ・プリンセッシズ。
そんなキャラクター、誰が演じても不満が残るものなのですが、いやそこは流石のリリー・ジェームズ。その持ち前のキュートさを存分に活かして、見事にシンデレラを演じ切っておりました👏
正直最初はもっと大人っぽい感じの女優さんが良いのにな〜、なんて思っていたけど、あの魔法のドレスに身を包んだ彼女があまりにも華やかで、そんな考えはぶっ飛んでしまいました。顔は幼いけど手足が長くてドレス映えするし…。うーん、もう100点あげちゃう!💯
個人的な感想ですけど、リリー・ジェームズってなんか日本人に受ける顔付きしてますよね。ちょっとオードリーっぽいというか…。クラシックな顔立ちだからこそ、シンデレラという王道プリンセスにしっくりきたのかも知れません。

リリー・ジェームズはとても良いっ!だがその他2人の大女優の存在感もまたすごいっ!!
アニメ版とは打って変わり、エキセントリックでプリティなキャラクターとなったフェアリー・ゴッドマザー。
演じるのはやはりこの人ヘレナ・ボナム=カーター。
変人を演じさせれば右に出る者なしなヘレナ。いつも通りのコッテリしたお芝居だったのだけれど、今回は彼女の美貌を堪能出来てとっても良かった😊
ほんと、あの魔法のシーンは何度も見返したくなっちゃうほど心が躍る❤️

そして、今回キャラクター像が大きく膨らんだトレメイン夫人、影の主役と言っても良い彼女を演じたケイト・ブランシェットがなんかもう凄まじかったっ!!💦
とにかく顔面が怖い…。もうライオンとかワニとかと同じくらい顔が怖い…。ケイト・ブランシェットが道の向こうから歩いてきたら、荷物を置いて一目散に逃げたくなる。それくらい怖い😱
全然瞬きしないんですよこの人。サイボーグなんじゃねえのかっ!?
1人だけサイコホラーみたいな演技をしているケイト。ファミリー映画らしからぬその迫力に心底震え上がりました。

だからこそ、トレメイン夫人にはもっと頑張っていただきたかった。何を諦めてるんだそこでっ!お前ならもっと出来るってっ!!
こんなに顔が怖いんだからさ、それこそシンデレラの暗殺を目論むとか、そのくらいの気骨を見せて欲しかった。
ディズニーワールドを旅するアクションRPG「キングダム ハーツ バース バイ スリープ」(2010)では、トレメイン夫人の心の闇から魔物が生まれ、それが主人公に襲いかかります。
今回もそのくらいのガッツをトレメイン夫人には見せて欲しかった。あんなに顔が怖いのにあっさり退場しすぎなんです。
ケイト・ブランシェットがドラゴンに変身して、ヘレナ・ボナム=カーターとの魔法バトルが勃発する。
そのくらい攻めた物語だったら満点あげちゃってたよ僕は!

…というのは冗談(でもケイトとヘレナのガチンコバトルは見てみたい)ですが、まぁでもクライマックスがあっさりしすぎていたというのは本心。原作準拠だから仕方ないところはあるとはいえ、ラストにもう一見せ場欲しかった。

最初はバカにしていた「シンデレラ」の実写化ですが、しっかり楽しんでしまいました。
「夢はひそかに」や「ビビディ・バビディ・ブー」と言った名挿入歌が入って無いじゃん!と思わせておいて、エンドロールでちゃんと流れるという安心設計。こういうところもちゃんとしている。
勇気と優しさは全てに勝る美徳である。いやー、シンデレラって、本当に良いもんですね〜😀✨

※いくらファンタジーとは言え、アフリカ系が王子の側近なんてあり得ないでしょ!!とかはじめは思っていたんだけど、調べてみると意外といるんですね黒人貴族。
「モンテ・クリスト伯」を書いた作家、大デュマの父親であるトマ=アレクサンドル・デュマ(1762-1806)はフランスの陸軍中将にまでのし上がった猛将だが、彼は白人貴族と黒人奴隷の間に生まれた混血児である。
うーん、差別にも負けず軍人として立身出世する。すごい人だなデュマのパパ。
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