Torichock

わたしのハワイの歩きかたのTorichockのネタバレレビュー・内容・結末

わたしのハワイの歩きかた(2014年製作の映画)
1.9

このレビューはネタバレを含みます

「わたしのハワイの歩きかた」

榮倉奈々の雰囲気やその他のキャストはもちろん、仕事という人生において大切なことを描いた作品の印象もあり、予告から感じるバブリーな雰囲気も、個人的には好感をもてて期待していたんですが、なかなかスケジュールが合わず諦めていたんですが、ギリギリで観にいって来ました。

"Syrup16g"の"手首"という曲にこんな歌詞があります。

くだらないこと言ってないで早く働けよ
無駄にいいもんばかり食わされて腹出てるぜ
苦し紛れの愛つかんでぬるい生活にただれる魂よ
それにまた しがみつくのさ

一生懸命生きているわたしに
どんな罪があるんですか?
いっぱいあるさ 死ぬほどあるさ
っていうかお前は 何でそこにいる?


前半こそ、ハワイの雰囲気に羽を伸ばし、そこで出会う人に何かを学び、主人公が成長をするんだろうなと思えるんです。
だけど、物語の中盤から僕はこのSyrup16gの手首の詞を脳内リピートせずにはいられませんでした。
また、本作の根幹に見え隠れする、"自分探し"の旅みたいなテーマ性。
僕の唯一観てるテレビ番組、"マツコ・有吉の怒り新党"で、こんなことを言ってました。

有吉「そもそも行動を起こす時に耳さわり・響きのいい言葉で誤魔化すな、カッコつけんじゃない」
マツコ「自分探し、でなく、遊んでくる、というべき」

"自分探し"なんてクソだと思ってる僕ですが、百歩譲ります。でも、じゃあそれならやることやって、仕事辞めてからにしろよ!と。
会社の金で飲み食いして、男選びまでして、幸せ見つけましたって辞める人間のどこを信用・共感すりゃいいのか1mmもわからない。
しかもこの女、自分のことは棚に上げて、人に
"自分がやりたいようにやれよ"だとか"結局、あんた何者なの?"
などなど、喚きたおしていました。

僕はこの主人公に"ここまでのことを言わさせるなら、こいつはこの発言のケジメを取れる何かをハワイで見つけるか成長をするんだろうなぁ、おい?大丈夫か?"と思って、彼女の動向を伺っていましたが、ほんとに最後の最後までしょうもなかった。

"自分がやりたいようにやれよ"??

じゃあ、お前のやりたいことは、日本で自分が積み重ねてきた正しいことは"えらいねーよくがんばったねー"と認めてもらい、過ちだと思ってることは"お前は悪くないよ"と慰めてもらうことなの?

"結局、お前は何者なの?"??

ハワイにぷらっときて、現地で踏ん張ってる男や自分の立場に迷ってる男にあちこちいって、酒飲んで酔っ払ってギャーギャー喚いて、お前こそ何者なの?仕事しろよ。

人それぞれ感性は違うと思うし、この主人公に共感する人もいるかもしれません。でも、それでもやっぱり脱出と逃避は違うんです。
"LIFE!"では、自分らしさの行き着く先が、しっかりと自分が今までして来たことの積み重ねに対する回答だったのに対し、この女の自分は、自分が今までして来た積み重ね、池松くんとの不倫や出版の仕事を、投げ捨てること、ただそれだったんです。それって、今までの自分に唾を吐く行為ですよね?じゃあ、この物語は、そんな女を許すような作品なのではないでしょうか?

せめてもの変化や成長も僕からしたらしていないと思います。
それがただ向こうから来ただけ。
そんでもって最終的に、出会った男の夢に便乗して、結婚出来るかなー?信じてもいい?うふふ...めでたしめでたしって、こいつどんだけ、自分がないんだよと、あんだけ偉そうに喚いてた自分らしさはどこいったんだよ?

正直、憤慨せずにはいられなかったです。二百歩譲って、それが女の幸せよ!とでも言うつもりなら、じゃあ偉そうに自分らしく!とか語ってんじゃねぇよ、と思わずにはいられなかった。

個人的にはほんとに胸くその悪い映画でした。ハワイだろうがアメリカだろうが、どこに行ったって、

"お前には無理だよ"


"渇き。"レベルに胸くそが悪かったです。
Torichock

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