きゅうげん

パージのきゅうげんのレビュー・感想・評価

パージ(2013年製作の映画)
3.5
もしも一晩だけ、国家が文字通り“無秩序”になったら。
ゲーテッド・コミュニティを舞台に、いろんな差別や格差を原因とするさまざまな憎悪犯罪が、思わぬ形でとある一家を襲う、バイオレントかつ緊張感ある小品。

しかし、「パージ」や「パージャー」などへ仮託する社会的なメッセージが、映画としての暴力的な決着によって薄まってしまっているような。
もちろん一家を襲ったのは紛れもない“悪”ですし、戦いの中で彼ら、とくにイーサン・ホーク演じる父親に芽生えた気持ちは“正義”と言えますが、しかし結局は銃がないとハッピーエンドを成せない、というのは構造的欠陥というか、ともすれば皮肉と言えるオチなのでは。
「パージ」的には一晩凌いだだけですし。大局的な展開・解決は続編に期待です。
まぁ、飲酒運転のもらい事故に遭った監督の奥さんが「自由に人殺しできる日があれば……」とブチ切れたのがアイデアらしいですし、この映画自体が憎しみの産物なんですね。