現代の戦争の意義を問いただす様に、ゾンビ社会におけるゾンビ狩りの意義をテーマにした作品
登場人物の心情はとてもよく表現されている
序盤でひよっこテレビ作家の主人公は「民間団体のゾンビ狩りにより安全が確保されてきている」事を放送しようと密着取材をはじめる。しかしそこで行われていたのは世界のためとの大義を掲げてゾンビからの略奪品で生計をたてている集団。
様々な場面で非人道的な行為をみて主人公は民間団体を非難するがそれに対してボスが「全てを失い他に何ができる?視聴者は君の番組を評価するだろう。だが俺たちを理解しない。俺も仲間も多くを失った。傷は癒えない。」この言葉がかなり説得力あり、主人公も反論出できずに黙る。
このシーンがこの映画の真髄だと感じた
この作品の冒頭では親ゾンビ活動家が「ゾンビは私達と同じ人間。外でゾンビが歩いていたら挨拶をして家に招いてあげて!」
そんな事できるわけが無い。ゾンビは理性を失っており、家に招こうものなら住人が皆殺しにされるからだ。
これと同じ出来事は実際に何度も現実で起きており、ベトナム戦争では戦争反対と皆が唱える事で終結したが、それによりランボーの様な故郷に居場所を失った悲惨なベトナム帰還兵が大量に生まれ、なんのケアもされなかった。
言うは易く行うは難し。結局外野でわーわー言ってる人間は現場で苦しんでいる人間の事など理解しうとしない。この構図を監督は批判したかった様に感じた。
世界観が確立されているが、撮影方法についてはゾンビを写す時、ゾンビの細かな造形を誤魔化す為にアップで画面をぶれさせる方法は他の映画でもよく観るが、人間同士の会話中もアップ+画面ブレで具合が悪くなりそうだった