OASIS

クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃんのOASISのレビュー・感想・評価

3.8
劇場版第22弾。ある日ギックリ腰を治療しに行ったひろしがロボットになって戻ってきた事から、野原一家にトラブルが起こるという話。
劇場で野原一家を観たのは2007年の「歌うケツだけ爆弾」以来。
今回は、ひろしがロボットになるという題材に惹かれてひろし好きとしては観ないわけには行かないだろうと思い鑑賞。

「オトナ帝国」や「戦国大合戦」といったクレヨンしんちゃん劇場版の不動のツートップとして君臨する両者を揺るがすには至っていないとは思うが、近年の作品の中ではトップクラスに良かったのではないだろうか。

父親の威厳を復権する為暗躍する「ちちゆれ同盟(=父よ勇気で立ち上がれ同盟)」と戦う野原一家に加わった「ロボとーちゃん」という存在によって、家族の在り方について今一度考えさせる内容は、世相を反映しつつも普遍的な親子の絆についても描いていて、時が経ったとしても伝わるメッセージが確かにあると思います。

ストーリーは「グレンラガン」や「キルラキル」の脚本家として知られる中島かずきが担当しており、程よいギャグとテンポで進むため子供達も飽きずに最後まで観てました。
サロンの名前に「トランスフォーマー」「パシフィック・リム」「ターミネーター」等が使われていたり、ロボットアニメのパロディも結構な頻度で繰り出してきます。
間に挟まれる少しウェットな部分もすぐに乾かしてギャグにうつるので感情的になり過ぎない所も良いです。
そして、最後にはしっかり泣かせてくれる所もあり、実に上手くまとまっていると思います。

劇場用ポスターで軽くネタバレしてるんですけど、ただ単にひろしがロボットになったというだけでは無くて、ロボとーちゃんとひろしが対面するという展開が後半にあります。
この二人の対決は、父親としての強さの理由や家族の大切さを訴えてくる最大級に泣ける場面。
ひろし好きには堪らない上、前半でロボとーちゃんにまで感情移入していると画面が涙で滲んで大変な事になるシーンだと思いました。
この映画が最も良いと思った点は、みさえ目線の「バカね・・・」という父と子を見守る優しいセリフで終わる所。
決して父が偉大という説教臭さだけで終わらせず、理想の家族の形を提示して見せてくれた所が素晴らしかったです。
なので、その後のエンドロールで家族揃って腕相撲をする場面ではジーンと来るし、また感動が込み上げてきました。
きゃりーぱみゅぱみゅのED曲もシーンと歌詞がマッチしていてとても良かったと思います。

ただ、敵のロボが五木ひろしだったり一昔前のセンスのギャグがあって滑り気味な部分もあって、前半と後半の温度差をしっかり感じてしまう所が少し残念でした。
やっぱり二大巨頭にはかなわないと思いますが、それを差し引いても感動作にはかわりは無いでしょう。
頑張るお父さんはもちろん子どもと一緒に観るべきだし、まだ居ない人も子供が出来たら一緒に観ながら腕相撲したくなる事必至の良作でした。
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