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イコライザーの都部のレビュー・感想・評価

イコライザー(2014年製作の映画)
3.4
今やジャンルの括りとなった、温厚な中年が実は歴戦の猛者で……というナーメテーター映画の走りとなる本作。デンゼル・ワシントン演じる紳士的な壮年のマッコールが、殺しのシークエンスを迎えると粗暴かつ容赦なく悪を滅していく姿は超爽快で、寡黙にその場にある道具を用いて迅速にキルを重ねいてく姿は殺人マシーンそのもの。

この日常と非日常の彼の顔のギャップを惜しみなく楽しめるのは本作の長所で、分かりやすい勧善懲悪物としてテンポを損なうことなく130分弱ある本編を走りきるのは映画として手堅く出来ています。マッコールの殺しは粗暴でこそあるものの、必要最低限の手数で着実に相手を仕留めていく形なのが渋くて良いですね。

辛気臭い物悲しさは若干匂わせる程度に、観客も感情として納得出来る形の私刑の連続にはエンタメ性があり、この苦戦も最小限に留めている徹底ぶりもノンストレスな味わいの一助を担っている節はありそうです。

しかしながら本作終盤のホームセンターでの決戦は全体的に画面のライティングが微妙で、せっかくの広い敷地での多人数戦であるのに殺害のシークエンスが分かりにくいのはやや残念でした。

また最初の19秒の殺しにある、限られた空間と道具で行われる殺人の浪漫ある格好良さとは次第に無縁の大味な戦闘また罠を仕掛ける待ちの戦闘へと推移していき、洗練された動きを楽しみたいにも関わらず状況の幅広い網羅が却って作品としての純度を落としていると思えてしまうというのがあるんですよね。

でも本作はライティングによる陰影の作り方が絶妙でして、デンゼル・ワシントンの殺しの顔付きが映えるスプリンクラー下での最終決戦はヒュー!格好いい!と素直に痺れさせてくれる画の強さがある。
曇り硝子の演出も憎いですね。
友人と自分を隔てる世界の壁が悲しくも表面化して、ただその場を去っていくマッコールの後ろ姿の渋さと言ったらないです。

そうしたアクションが主体の作品なので、尺に対して強固なテーマ性や人間ドラマなどが見られないのはありますが、渋格好いい 殺しの仕事人が悪を許さないと殺しを履行していく姿は間違いなく見ものでしょう。
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