Yuto

GODZILLA ゴジラのYutoのレビュー・感想・評価

GODZILLA ゴジラ(2014年製作の映画)
3.7
モンスターバース 1作目

久々の鑑賞


先日、本作の制作に協力したアメリカ国防総省が、途中段階の脚本に含まれていた原爆被害を取り上げたセリフをカットするよう製作者側に抗議し、協力の打ち切りを持ち出して圧力をかけていたという事実を取り上げたネットニュースがアップされていました。
完成版における日本と原爆を連想させる演出は、渡辺謙演じる芹沢博士が8時15分を指したまま針が止まっている時計を米海軍の提督に見せるのみにとどまっています。

わざわざ映画の製作協力に空母まで提供する米軍側の立場からすれば、過去に実行した原爆投下を批判するような内容を無条件で受け入れたくはないというのは、まぁ分からなくはないし、同時に「反核」のメッセージを盛り込んだオリジナルの「ゴジラ」が内包するスピリッツをアメリカが継承するのは、今はまだ不可能なんだなと実感せざるを得ませんでした。残念と言うより、少し虚しく感じましたね。


シリーズとしては初めてフルCGで描かれるゴジラが、新怪獣MUTOを相手に戦います。

全体的にかなり暗い映像ですが、それゆえに不気味な雰囲気は画面全体からひしひしと伝わってきました。どちらかと言うとゴジラよりMUTOの存在感の方が大きかったような印象です。

岩のように頑強な表皮と鋭い背鰭、グリズリーのようながっしりした身体と小ぶりな頭部。先細りした長い尻尾。日本のゴジラの特徴は受け継ぎつつ、それでいて全く新しい造形のゴジラは大変良くできています。
一方、本作のゴジラの身長は108m、全長は多分250〜300m程度だと思いますが、海上を米艦隊に監視されながら泳ぐシーンから見るゴジラの体躯は明らかにその数値を上回っており(全長約330mの原子力空母を遥かに凌ぐ大きさ)、シーンによってサイズ感が歪なのがちょっと気になりましたね。

MUTOのデザインは、最初はちょっと嫌いでしたが、今は結構好きです。

人間パートの脚本は全体的にかなり弱かったですが、それでも今思えば本作はモンスターバースで一番「まとも」な映画でしたね。展開がご都合主義だったりベタだったりとツッコミ所は多々ありますが、まだ「人間味」があるだけ見ていられます。その辺り次作以降は本当に酷いものです。


総評としては、ハリウッド映画の良いところと悪いところが混在してはいるし、アメリカナイズな設定の改変も賛否はあると思いますが、結果的にはだいぶいい具合にまとまったアクション映画になっているんじゃないかと思います。

ゴジラの咆哮は圧巻です。

2023年26本目
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