MasaichiYaguchi

アリス・イン・ワンダーランド/時間の旅のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.5
ティム・バートン監督の「アリス・イン・ワンダーランド」から6年振りの最新作は、邦題にあるように「時間の旅」がモチーフ。
ヒロインのアリスは父から受け継いだ貿易船の船長をしているが、不運が重なり人生最大の危機に直面する。
そしてアリスがかつて冒険したワンダーランドの親友マッドハッターもある切っ掛けでピンチに陥っている。
アリスは自らを省みず、親友を救う為に再びワンダーランドで奔走し始める。
本作ではアリスをはじめとした前作からの主要キャラクターたちは夫々忘れられない過去を背負っている。
その過去に対する後悔が夫々のキャラクターの心を突き動かし、物語の展開させていく。
過去をやり直したい、過去を変えたいという思いが、本作で描かれる「時間の旅」とリンクする。
この作品はタイムトラベル物と言って良いと思うが、その物語から伝わるのはSF的面白さというより、主要キャラクターたち夫々の家族愛。
夫々が犯した過ちと向き合い、過ちによって生じたわだかまりをどう乗り越えていくのかが本作の見所だと思う。
監督がティム・バートンから今回、ジェームズ・ボビンズに変わったが、前作の世界観はそのままに、最新CG技術によってよりアトラクション性、エンターテインメント性をアップして沸き立つようなストーリーを展開させている。
そして本作の影の主役とも言うべきタイムを、サシャ・バロン・コーエンが外連味やユーモアを交え、個性豊かに演じていて印象的だ。
「時は金なり」と言うが、時や過去から得るものは金銭的なものばかりではないことを、本作は我々に教えてくれているような気がする。