爆裂BOX

シャーロック・ホームズvsヴァンパイアの爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.8
首に二つの穴が開いた修道士の死体が発見された。吸血鬼を想起させる事件の謎に名探偵シャーロック・ホームズが挑む!…というストーリー。
「シャーロック・ホームズ」の原作者コナン・ドイルの未刊のアイディアをもとに映像化したミステリーです。
ホワイトチャペル修道院で起きた不可解な殺人事件。被害者の首筋には二つの穴が開き、壁には不気味な血文字のメッセージが残されていたことから、世間は「吸血鬼の仕業ではないか」と囁かれるようになる。心霊やオカルトを一切信じないシャーロック・ホームズはこれを一笑にふすが、そんな彼の元に修道院から事件解決の依頼の手紙が届く。ホームズは友人のワトソンと共に修道院へ赴き、吸血鬼の正体を暴くべく事件の調査を開始する、という内容です。
タイトルだけ聞くとアサイラムあたりが製作しそうなイロモノ映画に思いますが(実際「シャーロック・ホームズVSモンスター」って映画作ってますし)、上記の様にドイルの未刊のアイディアをもとにホールマークが製作したTVシリーズで、ちゃんとしたミステリーになってます。「バスカヴィル家の犬」等を映像化したシリーズの四作目のようですね。
修道院で起こる吸血鬼の仕業を思わせる連続殺人にホームズとワトソンが挑むというストーリーですが、霧の都ロンドンの重く濡れた石レンガや石畳といった湿った街の雰囲気を良く演出していると思います。随所にホームズらしさも散りばめられていて、シャーロキアンのスタッフが作ったんだろうなと感じますね。ホームズらしく論理的でわかりやすい謎解きの構成になっています。
ホームズ役はマット・フリューワーですが、髪はブロンドだけど、紳士な雰囲気は出ていたと思います。自信家でともすれば傲慢とも思える言動したり、でも自信だけでなく自分の推理力に責任も持ってて、時折見せる優しさなどホームズらしさ感じられます。変人感はあまりなかったかな(笑)些細な物でも見落とさず、そこから人物の特徴や性格、そして事件の真相を見抜く鋭い観察眼は「これぞホームズ!」という感じでした。ケネス・ウォルシュ演じるワトソンもホームズの横を共に歩いて事件調査に臨み、ホームズの頼みで動き、ホームズがちょっと自信を失いそうな時は支えて彼を再び立ち上がらせる言葉をかける良きバディ感がとてもいい。彼らの関係性が窺える会話も良いですね。
登場人物が結構多めで、皆どこか怪しい所はミステリーのお約束ですね(笑)皆に吸血鬼と忌み嫌われる蝙蝠を研究する黒人博士は分かりやすすぎるミスリード要員でしたね。また、修道院が舞台なので皆「○○ブラザー」「○○シスター」と呼ばれるので見分けるのにちょっと苦労する所はあるかも?
ミステリーとしては分かりやすい作りなので、斬新なトリックとかはないですし、人によってはすぐ犯人の予想付く人もいるんじゃないでしょうか。最後にホームズが推理披露する場面で、視聴者の知らない所で気付いた点や調べた点をいきなり披露する所もホームズらしい(笑)今ミステリーも色んなものがあるので、逆にホームズ読んでない人は「こんなもんか」と思われるかもしれませんね。犯人の動機もそれで一緒に行った仲間次々殺すかな?と思うものではありました。
最後の小粋なオチは結構好きですね。
シャーロック・ホームズが好きな人なら小気味よくコンパクトにまとめられたミステリーなので普通に楽しめるんじゃないでしょうか。逆にこのタイトルからイロモノ想像してみた人は、派手なシーンもない地味なミステリーなのでガッカリするかもしれませんね。