タピオカ

プリズナーズのタピオカのネタバレレビュー・内容・結末

プリズナーズ(2013年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

これぞ極上のサスペンス。
以前は、単純なストーリーの妙という観点でサスペンスを楽しんでいましたが、この頃は基準が変わってきました。
ストーリーの巧妙さはもちろん、どんなジャンルの映画でも感情を根底から揺さぶるような、心理的安定の基盤を突き崩す力強い作品に惹かれます。
その点、鑑賞したドゥニ監督の映画はどれも力に溢れ、私の人生に爪痕を残しています。

前半、ペドフィリアへの嫌悪をあまりに煽られ、無理だこんなやつらみんな死んでしまえという気持ちになりますが、後半でしっかりと、自分も浅ましい大衆の一員でいることを自覚させられます。
そして、個人的にグッときたのが連続誘拐犯の動機。犯人自身が子供を癌という理不尽な理由で奪われ、癒えぬ悲しみを狂気に変えて自らを救わなかった神への冒涜いう名のもと子供をさらい続ける。恐ろしいほどに「上品」かつ思いつかないが納得してしまう理由に、嘆息が漏れます。
そして、細部までこだわり抜かれたストーリーの魅力を最大限に引き出す役者陣の圧巻の演技。確かな正義感のもと被害者の少女を病院まで運ぶロキ刑事の、父親以上に少女を守ろうと懸命な姿に、涙が止まりません。ラストで、夫を善人だと言い放つ妻を観ながら、顔面の腫れ上がったアレックスのショッキングな姿が脳裏によぎります。ただ、妻のセリフを根っから否定することはできません。
メッセージとボーダーラインで度肝を抜かれましたが、彼の手にかかればどんなジャンルでもこのクオリティの作品に仕上げられるのでしょうか。洋画の監督で最も好きです。
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