シンプルに生きられないシモンが、シンプルな愛を見つける話。
色彩感覚がとても好みだった。
Billie Eilishのbad guyのPVみたいな部屋の壁紙、構図で、現実なのにどこかファンタジーのような雰囲気を感じさせる。画から感じる独特の味わいが、擬似的にシモンの見る世界を想像させてくれる。
運命なんて信じないシモンは、生活の全てを数字で解決する。人の感情に理解を示さないのに、どこか愛らしさがあって応援したくなってしまう。シモンと同じくらい、シモンを受け入れてくれる人も好きになる。生きづらい人に、なんとか居場所を作りたいと願う自分の気持ちに気づく。
この映画の愛くるしい部分は、シモンがどうしても大切にしている事を常にシモンと同じ目線で描いているところ。下手に俯瞰で見て冷めてしまうことがない。
人は変わることだけが良いことではないけれど、変わる事もできるよって優しく教えてくれる温かい映画。