FukiIkeda

おやすみなさいを言いたくてのFukiIkedaのレビュー・感想・評価

4.2
ズッシリ。
紛争地帯の報道カメラマンであり、妻であり、2人の娘の母でもあるレベッカとその家族の葛藤。
カブールで自爆テロの儀式を行う女性たちを撮るシーンから物語は始まる。
彼女の信念に魅力を感じ、結婚をした夫も、他に護らなければいけない娘たちの為にも、いつ帰らぬ人になるかわからない妻を待ち続けなくてはならないという辛さが、いつしか憤りへと変化してしまう。
また、アフリカ ケニアでの難民キャンプでの事件。
傍観するどころか、ゴシップにばかり気を取られ、無関心でいる人々への憤り。
この現状の悲劇を、誰かが伝えなくてはならないというこみ上げる使命感は、始まり出したら止まらない。

2015年8月1日より公開予定の「それでも僕は帰る-シリア 若者たちが求め続けたふるさと」のプロモーションのお手伝いをさせていただいたことをキッカケに、知り合った、報道カメラマン、難民を支援する団体の方々の生の声とリンクした。
また、まさしく昨日聞いたナミビアの恐ろしい話とか、私たちが知らない酷い出来事は今もなお、世界のどこかで起きている。

そんな中、その知る権利さえ奪うような、シリア渡航の報道カメラマンの日本パスポート強制返納の信じられない2月末のニュース。
人質になるかもしれないような危険を犯して、皆に迷惑をかけるな、空気を読め、そんなところに行ったお前が悪い、自己責任だ、という事でも言いたいんでしょうか。
でも、国民の命を守るということは、直接的にその場に行かせないというような安易なことではない。
IS(イスラム国)が何故勢力を伸ばしてしまっているのか、何故多くの若者がそこにいってしまうのか、その理由は私達が彼らに対して無関心であったからということは大きな理由の一つだということを知ると、そのような処置は、火に油を注ぐようなことだと思うのだけどな。
沈黙は独裁者や圧政者に力を与える、最も恐ろしいこと。
FukiIkeda

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