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北朝鮮強制収容所に生まれてのmhのレビュー・感想・評価

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北朝鮮・ケチョン強制収容所から脱出してきたシン・ドンヒョクさんへのインタビュードキュメンタリー。
過酷だった状況を静かに語り続ける。
収容所内の生活や、公開処刑の話などしていると、脱走しようとした母と兄を密告したくだりに差し掛かって、それからが強烈。
なんで家族が脱走することなったのかという拷問が半年近く続く。
腕の形が変わってしまった理由は語られなかったけど、おそらくこのときの拷問が原因だったのだろう。
密告したのは自分だということを伝えて(おじさんの助けを借りて回復を待って)ようやくその拷問施設から解放されるんだけど、その日のうちに、母と兄の公開処刑に立ち会う。それでも涙は出てこなった。処刑されたら泣けと教わってないとのことだった。
看守側の脱北者、二名のインタビューも随時挿入される。
収容者をいじめていた側ではあるんだけど、悪政の被害者でもあって、立場は微妙。南北統一後に収容者に会うのが怖いという。かなりの人数を殺してきたはずで、なんとも後味が悪かった。
アメリカの支援団体のウェイウェイっぷりが面白かった。なんか宗教団体の青年部といわれたら信じてしまいそう。
自己肯定感に満ち溢れた支援団体メンバーたちと、笑うのがうまくないシン・ドンヒョクさんの対比が印象深い。
資本主義から遠いところにあった強制収容所を懐かしく思うという、終盤の告白がまたすごかった。
自殺者がほとんどいないというのも意外だった。
なるほどあれがみんなが憧れた原始的な共産主義なのかと思ったりした。
見るからに過酷だった「トゥルーノース」よりもソフトなぶん、リアリティがあった。
面白かった。
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