かたゆき

グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札のかたゆきのレビュー・感想・評価

2.0
王族との結婚を夢見る人々は、その本当の意味を分かっていない――。
ハリウッドで名実ともにトップクラスの人気を誇っていた名女優、グレース・ケリー。
モナコ公国の王子と恋に落ちた彼女は、多くのファンから惜しまれつつも引退し、伝統と外聞をもっとも重んじる王族の一員となったのだった。
本作は、そんな煌びやかな女優の世界から権謀術数渦巻く政治の世界へと身を投じた彼女の苦難に満ちた半生を描いた伝記映画だ。

というわけで、グレース・ケリーというもはや伝説と化した人気女優役をこれまた現代ハリウッドでトップクラスの地位にいる二コール・キッドマンが演じたということもあり、なかなか興味深いものを感じてこの度鑑賞してみました。

観想は……、いやー、これがもう見事なまでに底の浅ーーい凡作でありました。
駄目な伝記映画の典型的な例が見事なまでに揃っていて、もう目も当てられません。
駄目な点①史実として起こったことをただ時系列順に並べただけで映画として観客に伝えたいテーマがまったく絞られていない。
グレース・ケリーという一人の女性の人生とはいったいなんであったのか。優れた伝記映画は、彼女の人生の本当の意義を観客に分かりやすく伝えるための明確なテーマが強固としてあるのだけど、本作にはそれがいっさいありませんでした。
これじゃ事実を再現しただけの映像を単に羅列しただけに過ぎません。
駄目な点②主人公の人生の転機となる重大な選択に説得力がいっさいない。
本作でいえば、グレースがヒッチコックの新作映画への主演を諦め公妃としてそして母としてモナコに仕えることを決意するシーンがそれにあたるのですが、それがほとんど葛藤もないままにあっさり心変わりするものだから観客としては「え、そんな簡単に決めちゃうん?」と興醒めすること半端ない。
駄目な点③物語のクライマックスとなる主人公の最後の演説の言葉がまったく心に響かない。
彼女の苦悩がほとんど描かれていないのに、結論が「愛が私を強くしたのです!」って…。思わずずっこけそうになっちゃいました(笑)。

という訳で、どこからどう見ても完全に凡作です。
お年を召しても相変わらずお美しいニコール・キッドマンの美貌に免じて星+0.5。
かたゆき

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