なちゅん

やさしい本泥棒のなちゅんのレビュー・感想・評価

やさしい本泥棒(2013年製作の映画)
4.4
こんな素敵な作品が劇場未公開とは…ソフトじゃ目に触れる機会も少ないでしょ。見たほうが良いと思うんだよ。

確かに戦時中のドイツの庶民を描く王道映画ではあるとは思うんだけど、ここには他の戦争映画よりも普遍的な「人間らしくあること」の本質がある。戦争ってよくないよねとか、ナチスドイツってなんて非道だったんだろうとか、そういうことよりももっと人間の話というか。自分の目で見たものを自分の言葉で表現したり、自分の心で感じて自分の体で行動したり、誰かから吹き込まれることや強制されることなしに、自分で意思を持っていることの大切さと尊さが何よりも描かれている映画。

リーゼルはなんて強くて優しい子だろう。ハンスとローザはなんて人間らしくて愛情深い人たちだろう。ルディはなんて素直で勇敢な子だろう。マックスはなんて賢くて美しい人だろう。人間の良いところは全部ここの人たちの中に描かれているように思う。
ベン・シュネッツァーのマックスが本当に素敵だった。マックスのような人に出会えたら良いのに。世界の描き方を教えてくれる人に。
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