MasaichiYaguchi

インサイド・ヘッドのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
4.0
ピクサー長編アニメーション20周年記念作品である本作は、頭の中の感情を主人公にした少女の成長物語。
ピクサーは斬新な発想による完全オリジナル作品を次々と生み出し、我々ファンをハラハラドキドキ、ウキウキワクワクさせ、そして胸を熱くさせる。
この映画では誰もが持つ感情をモチーフに、イマジネーション溢れる展開で我々をファンタジックな世界に誘う。
登場する感情はヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリの五つ。
実際の人間の感情は複雑で、もっと種類があると思うが、五つに集約して色付けし、キャラクター付けさせて、人間の内面を子供でも分かるように描いている。
邦画でも今年、漫画を原作とした実写映画「脳内ポイズンベリー」というアラサー女性の脳内世界をコミカルに描いた作品があったが、趣は大分違う。
映画で描かれる少女ライリーの頭の中の世界はイマジネーションで無限の広がりがあるテーマパークを思わせるが、実際のライリーの日常は、人種や国籍が違っても誰でもが経験したり、見知ったことだと思う。
そして子を持つ親、特に娘を持つ親にとって本作で描かれた内容は、子育ての中で経験した喜びや悲しみ、苦労やそれに報いるような幸せを思い起こさせてくれる。
映画で描かれた五つの感情、その中でライリーの幸せの足を引っ張るような存在に思えるカナシミ。
この存在が何故人にとって必要なのかを知る映画でもある。
原題は“Inside Out”(裏返し)
ピート・ドクター監督が、自身の娘の成長や感情の変化に戸惑ったことを切っ掛けにして生まれた本作品は、外面からは伺いしれない子の気持ち、その気持ちを汲もうとする親の心を描いた作品であると思う。