ヒレカツ

インサイド・ヘッドのヒレカツのネタバレレビュー・内容・結末

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

クヨクヨしがちな自分が嫌い、そんな人にオススメ

日本語吹き替え版で観ました。
脳内のゴタゴタというよりは思考空間の冒険をメインに据えていたあたり、よく引き合いに出される脳内ポイズンベリーとは住み分けされてると思います。
少女の思考の動きを軸に、主に強いストレスに晒されたときの感情の変化、成長とそれに伴う周囲の反応や、それを通しての家族愛などテーマが少し散漫かもしれませんが、よく描かれていると思います。
また、声優陣の演技もナチュラルで、特に大竹しのぶさんはアナウンスが無ければ本人と分からないような名演だったと思います。
ではなぜこのスコアか、を順次書き上げて行きます。

1.謎の上映前演出(-0.5)
上映劇場や上映時期にもよるのかも知れませんが、ドリカムの歌うイメージソングにのせて一般投稿らしき写真を次々に見せられます。自分はドリカムの歌はエンディングだと思っていたのですが、本編でかからないのを考えるとイメージソングだったのですね。その音楽に乗せて次々と赤ん坊やカップルの写真が映し出されるという、独身アラサーの自分にとってはなかなかにどうでもいい演出が一曲丸々続きます。カップルや家族での視聴を意識した演出なのでしょうが、自分もさることながらちびっ子にとっても退屈な演出ではないでしょうか?しかも、ドリカムのイメージソングは事件、つまり映画内で起こる出来事が解決してからの方が理解が深まるはずです。予告を何本も見せた後にいきなりライリーライリー歌いながら知らない子供の写真を何枚も見せつけられて「?」となると同時に「こういうのって心が温まるでしょ?」という某夏休みの名物番組的な感動の押し売りに若干の違和感と、この映画は感動するんですよ、という刷り込みを暗にされたようで、捻くれ者の自分には逆効果でした

2.ショートムービーの冗長さ(-0.5)
ショートムービーなのに冗長ってなんだよ!と自分で突っ込みたくなりますが、まあ冗長なんです
ピクサー作品は毎回素晴らしいショートムービーと本編がセットでどちらも楽しみなのですが、今回のショートムービーはちょっと「?」でした
掻い摘んで内容を言えば、火山の島が仲良く戯れる他の生き物たちを眺めながら、自分も誰かと仲良く戯れたい、歌を聴かせたい、みたいな思いを馳せるんですが、そんな機会もなく一人で毎日歌い続けていて、そうして長い歳月が経って島がそろそろ海に沈みそうになるんです。そんなとき、新しい火山が地底から登ってきて、やっと海面から顔を出して歌い出すのですが、それと入れ違いに最初の火山は海に沈んでしまうんです。それで、海の中で悲しい悲しい言ってたら、なんか爆発して二つの火山が一つになって仲良く歌い出す、みたいな
いや、良い話ですよね、いい話なんですけど、ピクサーのショートムービーとはちょっと違くないかい?と。「晴れ ときどき くもり」では涙を禁じ得なかったし、「月と少年」も突飛な世界観ながら圧倒的なワクワクに胸を踊らせた自分が、なぜか白けてしまったんですよね。歳のせいもあるかも知れませんが、多分
①全編通してウクレレにのせた歌で進行していく微妙な変化の無さと、日本語訳の語呂の悪さとかが気になる
②美麗な映像ではあるが、動きや変化に乏しく、なんとなく某国営放送の人形劇を彷彿とさせる
③歌詞も似たようなことばっかり言っててクドい。
とかでしょうか。文句言いらしく理不尽な感想かも知れませんが、そのくらいピクサー歴代のショートムービーはクオリティが高いのです。次回作に期待。

3.ちょっと分かりにくい(-0.5)
理解力に乏しいお前が悪いんだろ!と言われればそれまでなのですが、カナシミの役割が自分は良く理解できず、解説を読んで始めて分かりました。全てのヨロコビはカナシミの上に成り立っていた、とかそんな感じでした。
人格としては、ヨロコビは、ほらクヨクヨしない、楽しい楽しい!みたいな気分切り替えタイプで、カナシミは、辛かったよね、悲しかったよね、という感じの向き合って寄り添うタイプでして、確かに失敗をしたり嫌な事があったら、その事実に向き合って、悲しんで、気分を切り替えていくのが順当ですからね。少し理解力があれば理解出来そうなもんですけど、劇中で重要な場面での感情をヨロコビがカナシミに委ねたとき、自分は「!?」となりました。今までのピクサーの分かりやすさに甘えていたせいでしょうか。自分の理解力が乏しいのを否定するつもりはありませんが、小さい子にはちょっと難しいんじゃないか?とは思います。

と、まあこういう感じの理由です。減点の原因はほぼ主観的な理由なので、そこが気にならなければ、(仮に気になっても)楽しめる作品ではありました。
また、お母さんの脳内はカナシミが中心になっていて、お父さんの脳内はイカリが中心になっているなど、多分心理構造の作り込みは細かく、深く作られていそうなので、もう少し本編の上映時間が長くても良かったかも
DVDになったらじっくり見てみたいと思います(^^)
ヒレカツ

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