ダニエルクレイグ

007 スペクターのダニエルクレイグのネタバレレビュー・内容・結末

007 スペクター(2015年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

苦悩するボンドの葛藤はもとより、明らかになる彼の幼少期の秘密...。ボンドは、少年時代の思い出が詰まった生家 “スカイフォール”で焼け残った写真を受け取る。その写真の謎に迫るべくMの制止を振り切り単身メキシコ、ローマへと赴き、悪の組織スペクターの存在を確信する...。

初期のシリーズに登場した犯罪組織「スペクター」。権利の問題で「007/ダイヤモンドは永遠に」を最後に使用できなくなっていたが、再び権利を取得したことで本作に登場することになった。

前作に引き続き相変わらず美しい映像で、雪山や街並みといった背景の捉え方がとても美しい。それらの美しさを崩す ことなく繰り広げられるアクションの数々。中でもスペクターの会議に潜入し、ローマの街を封鎖して撮影したアストンマー チンDB10とジャガーC-X75のカーチェイスは迫力抜群。かっこよさに加えてユーモアやQのギミックなど見応え抜群。冒 頭のメキシコの「死者の日」のパレードからどんどん場所を移して続く驚異の長回しも圧巻。後半の砂漠の中での大爆発は、実際にギネス認定されたことも頷けるほどのスケールである。

スペクターやブロフェルドの登場はダニエル・ボンド過去 3作との繋がりもあり、過去作のオマージュを多く含んでいる。史上最高齢ボンドガール、モニカ・ベルッチも綺麗、レアセドゥも難しい役所を見事に演じている。Mの「殺しの許可証は殺さない許可証でもある」というセリフが印象的。ラストは Mやマドレーヌが見守る中オーベルハウザーに銃を向けるボンドだが、撃たずにMに身柄を確保させマドレーヌとともに立 ち去る。マドレーヌを連れ何処かへ消え去るボンドは引退を表しているのだろうか。マドレーヌの示唆した「別の生き方」 を選んだのか。過去の幻影を絶ちきり今に生きるボンドを描いたダニエル・ボンドの集大成であった。