あくとる

007 スペクターのあくとるのレビュー・感想・評価

007 スペクター(2015年製作の映画)
3.5
【2021.9.28@Amazon Prime Video】
クレイグボンド最終作へ向けて復習、その4。

初めて劇場で観た007。
当時後追いで『スカイフォール』を観て感動し、そのサム・メンデス監督が続投ということで、ムビチケを3枚も買って公開を心待ちにし、先行上映@TOHOシネマズ新宿IMAXで観たのを覚えている。

自分はダニエル・クレイグより前の007は未観賞なのだが、多くの人が言うように、異色作であり傑作だった『スカイフォール』に対して、原点回帰を図った作品なのは間違いない。
公開当時は『スカイフォール』の幻影を求めてしまい、"面白いけどコレジャナイ感"も正直あった。

良くも悪くも王道エンタメ路線。
メタ的だが、莫大なお金がかかっているのを感じさせ、画面に映るものがとにかくリッチ。
ド派手なアクションは見応えがある。
また、Qとのやり取りに顕著なように、ユーモラスなシーンが多いのも楽しい。
その一方で、この作風ならばサム・メンデスが撮る必要もなかったのではとも思ってしまう(彼の本作への意欲がどの程度だったのかは分からないが)。
宿敵ブロフェルドを演じたクリストフ・ヴァルツも含め、勿体ないというか、このメンツならもっと面白くなった気がしてしまう。
多くのサム・メンデス作品で撮影監督を務めてきたロジャー・ディーキンスが降板した気持ちも分かる気がする。

上映時間が148分もあるが、スペクターという組織のぽっと出感は否めず。
オープニング・クレジットのサム・スミスの曲は、それ自体は悪くないものの、映画の内容に対してちょっと真面目すぎる。

(余談)
ル・シッフルとシルヴァに比べてグリーンの扱いが終始酷いのがもはやギャグ。
露骨にハブられている。
ブロフェルドさん、彼の写真も貼ってあげて…。
公式が完全に黒歴史と認めてしまっているのが悲しい。