あくとる

マッドマックス:フュリオサのあくとるのレビュー・感想・評価

4.5
あまりにも特別な作品である"Fury Road"の前日譚として、下手なセルフパロディのようになってしまわないか不安があったが、巨匠ジョージ・ミラーは全く新しいマッドマックスの物語を創り上げた。
過去作の良さはそのままに、新たな要素も多分に加わっている。
この定番とフレッシュさのバランスが最高に効いている。
前作そのままに切れがあるカーアクションに、今回はバイクやパラシュート隊が加わってよりボリューミーで楽しくなっている。
外連味があって、キレがあって、何より見やすいアクションは天才の業。

今回はフュリオサのオリジンの話であるが、やはり彼女のセリフは極端に少ない。
シャリーズ・セロンからアニャ・テイラー=ジョイへの交代は不安だったが、アニャの目力で納得させられた。
フュリオサの人生を奪ったバイカー軍団の残虐な頭ディメンタスを演じるのはクリス・ヘムズワースであるが、失礼ながら彼の筋肉バカなイメージがぴったりとハマった良いキャスティングだったと思う。
死を躊躇わないウォーボーイズたちを敵にする恐ろしさ、イモータン・ジョーの強み。

本作は復讐という一点に集中したシンプルな物語だ。
重要なことはただ一つ。
人間の尊厳を奪われたら、取り戻すために戦い、それにふさわしい復讐をすべきだ。