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マッドマックス 怒りのデス・ロードのChiarumsのレビュー・感想・評価

5.0
 正直なんじゃ、こりゃ以外の感想が湧かなかった一作目のマッドマックスを観てからじゃないと、この怒りのデスロードという作品の真の厚みは感じられなかったと思う。
ただひたすらに荒削りでアナーキー、もはやそれだけと言っても過言ではないくらいの尖った若き日のジョージ・ミラー監督が60過ぎて辿り着いた怒りのデスロードというひとつの集大成。
ストーリー、映像、視覚効果、音楽、世界観すべてにハッキリと進化が見てとれる。
何より素晴らしいのは、監督としての技術的な進化のみではなく、作品そのものに監督の精神的成熟が現れ出ているから。
世紀末の荒廃しきった世界で、生き抜くため立ち上がるフュリオサをはじめとする女性たち。
怒りのデスロードの主役は明らかにマックスではなく、彼女たち。そして苦しみのさなかにある民衆たち。
その構図がしっかりしているからこそ、真の意味でこの映画は成り立っていると感じる。
圧倒的な強さを持つ男性ヒーローが非力な女性を助けてあげるのではない。
男も女も老いも若きも皆生き抜くのだ。
生にしがみつき、立ち上がるのだ。
人間としての根の部分が熱く揺さぶられるこの上なく素晴らしい映画です。
21世紀を生きる私たち、皆死ぬ前に一度は観ておいた方が良いと思います。

公開当時、劇場に行かなかったことを今更ながら激しく後悔!
もしまた劇場公開のチャンスがあれば、絶対行きます!!
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