くりふ

マッドマックス 怒りのデス・ロードのくりふのレビュー・感想・評価

3.5
【MADはMAXでなくMEDIUM】

バカ映画との評判は聞いていたので、どれだけバカ丸出しで2時間超絶爆走するかと思ったら…ふつうジャン! で、大してMADじゃないのね。

この悪役ボスの王国がいいなんて勿論思わないけど、けっこう専制統治うまくいってるぞ(笑)。クーデター起きないし。今回の逃亡劇への慌てぶりを見ても、ボスがそれだけユルイってことで。

実在する独裁者の方がずっと狂ったのいるし、また資源に困らぬ日本で地下鉄サリン事件起こす連中などの方がよっぽどMAD。

で、ユルイ王国で今回のお題、あの女たちがどんな搾取に遭うかきちんと見せない分、応援する気もMAXにならない。セロン隊長は魅力的だけど、背負ったものより本人から醸される魅力の方が圧倒的に強い。

特に女性の扱いから、ミラー監督丸くなったなあと思った。1と2では女はヤリ捨てでしたからね。3で女ボスを出した流れの上で、貧困女子の地位を「産む機械」にまで上げて、さらに…とするフェミニズム(?)。

ハーレムっておっさんの発想だなーって微笑ましかったけど。これは老いたからこそでしょう。

お話し的にはセコイですね。イモーたん(笑)とつるむ別ボスがボヤく「なんで痴話喧嘩をこんな大袈裟にやってんだ」って台詞に頷いちゃった。スピードジャンキーと、それに巻き込まれ復讐鬼と化す正義漢、というMADな構図は1作目で終わってしまい、それを上回る狂気が続かなくなっちゃった。

イモーたんのやってることは異様だけれど、あのエンディングからしても、それなりの政治力で民衆まとめていたからああ、すんなり移行できたわけでしょ?マジキチならそうはいかない。彼の「おうち」の壁にでっかく出ていたロゴマークが、ドクロベエみたいだった辺りも、どうも憎み切れないポイントです。

カーバトルはもう見世物ですが、見せ方の技術で上書きしても、それだけだと飽きてしまう。あの「炎のギタリスト」だって、どれだけバカやってくれるか期待したのに、薄いなあ。そもそも、あれだけ爆音に包まれたら演奏なんて聞こえないだろ(笑)。

あのスピーカー車、食パンマンなみに空気抵抗キツイと思うがちゃんとスピード出るのか?

トム・ハーディって運の悪そうな顔してるから、この役には合っていましたね。がそもそも、セロン隊長と改心ウォーボーイがいれば、マックスいらなくね?(笑)

<2015.6.29記>
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