ただ行って帰ってくるだけでも史上最高の映画は生まれる。
既に21世紀最高のアクション映画の一つである事は間違いない。
劇場公開から30年の時を経て、あのカルトの名作と呼ばれた作品は、
ついに映画史に名を残す不朽の名作となったー。
心の臓を昂らせるエンジン音が唸りを上げて迫りくる中で、
これまでの映画とは一味も二味も違う斬新なアクションのつるべうち!
一度見たら忘れられない個性的なキャラクター達が、
アクセル全開で観客に向かってノーブレーキで突っ込んでくる。
人間の本能に訴えかける、血湧き肉躍るアクション映画の傑作。
鑑賞後はぐったりするほど熱狂するこの作品。
実は振り返ってみると、ただただ行って帰ってくるだけの物語なのである。
…にも関わらず、何故ここまでこの作品に熱狂してしまうのか。
それは、モブキャラ一人一人の背景まできちんと設定するという、
尋常じゃないほどに緻密な世界観を作り上げたにも関わらず、
それを説明描写を一切排除し、映像だけで描き切るという、
ジョージ・ミラーの類稀で思いっ切り狂っている才能の賜物である。
そう、この作品には説明がない。主人公も語らない。
ただただ物語は一直線に突き進む、まるで劇中のウォータンクのように。
にも関わらず、観客には何かが伝わり、それは次第に熱狂へと変わる。
余計なものを削ぎ落とした、これぞ「剥き出しのエンターテイメント」
そして、それは無駄が何一つない完璧な芸術である。
人間の本能に訴えかける純度100%、混じりっ気なしのエンターテイメント。
今後これを越える作品は果たして出てくるのか。
現時点における自分のオールタイムベストは何を隠そうこの作品なのである。