このレビューはネタバレを含みます
紫が美しい作品。
一人一人のキャラ設定がアニメーションの中によく表現されていて、映画を見ていると自然と人間性が伝わってくる。
ジブリのキャラクターは、総じて、非常にわかりやすくデフォルメされているように思う。
実際の子供とか大人って、多分もっとわかりづらくて、自己表現できてなくて、人に言えないコンプレックスや葛藤があって、自分の悩みに自分でも気づかずにモヤモヤしてて、コロコロ意見が変わって、世間体や人の目を気にして全然正直じゃない。頭のなかが複雑。
あと、少なくとも、心を閉ざしてる子は、絶対に初見の人に『太っちょ豚』とは言わない。笑
だけど、そのメリハリが、ジブリのキャラ作りの良いところなのかなと思った。
強さだけじゃなく、人間らしい弱さもしっかり見せること。
意思表示をしっかりと言動として見せること。
自然体・等身大でありながらも、メリハリをつけて、個性を出すこと。
結果的に、本当の人間よりも、むしろ人間らしく見えてくる。
そんな風に本作を見ていて思った。アニメーションとしては当然なのかな?
本作は、
夢と現実の狭間で少女が友に出会い、自分の内面を解放していく中で、大切なものに気づく。いや、気づくと言うよりも、正直になる、そんな感覚の物語。
物語冒頭で、主人公が、中の人、外の人、という表現をして人との間に明確な壁を引いていることがわかるが
終盤では、主人公自らがその壁を壊し、太っちょ豚と言ってしまった友人に謝りに行ったり、おばさんと呼んでいた人をお母さんと呼んだり、
最後には、笑顔や涙を人に見せられるようになった姿に、少女の大きな成長を感じた。
こうした一夏の冒険物語は、いつでも見る人の心に憧れと冒険心を持たせてくれる。人は変われるんだと。
もちろん努力しても報われない事はあるけど、夢を持たせてくれる作品、こういうきれいな作品はとても大事だと思う。
声優さん達も素晴らしかった。マーニーが有村架純さんだと気づかなかった。他の方も含め、自分の特徴を出して役を作るのではなく、自分を一歩後ろにおいて、役の特徴を表現する事に真摯に努められていた。
見心地のいい作品でした。