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思い出のマーニーのEegikのネタバレレビュー・内容・結末

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます


か、家族主義が過ぎる……


画に関して、新しめのジブリを久しく観ていないからなのか知らんが、やけに彩度の高いビビッドな絵面が多くてしっくりこなかった。湿地帯や自然の緑を強調したいからなのか、冷蔵庫や自室の装飾がすべてライトグリーンで怖さすら感じた。
陽が落ちてきて、夕方や夜の場面では彩度が下がるので自分好みの画になった。

湿地の向こうのお屋敷という(水)平面的な空間モチーフと、サイロの垂直的な空間モチーフの対比。


お話に関して、うん、まぁ、そうですか……って感じ。「可哀想な話」を人から聞かされて主人公たちがボロ泣きするのを映すくだりとか、これがプロの考えた脚本・演出なのか?と白けてしまった。
杏奈が見る幻想とリアルが混じり合って進行するので安定感が無く、中盤は「どうせマーニーは杏奈のイマジナリーフレンドなんだろうけど、そうであろうがあるまいがどうでもいいな……」と思うくらいには興味が失せていた。(実際、イマジナリーフレンドとも言えるしそうでないとも言えるオチだった)

サイロでマーニーが杏奈に対して「カズヒコさん!」と言い始めるくだりとか、全体的にサイコホラー感があって怖かった。マーニーの動作のヌルヌル作画も、実体がない幽霊的なものが生身の人間よりもリアルに鮮明に動くという点で、美しさとかよりも不気味さ、不穏さ、恐ろしさが優っていた。
子供が世界をまなざす仕方をある意味でリアルに描こうとしているとも捉えられるが、主人公がもっと幼ければ『トトロ』のように成立するが、12歳の小6or中1という年齢設定は絶妙に……失敗しているのでは。

マーニーとかどうでもいいから、近所の学級委員長のふくよかな同い年女子とのお話をもっと見たかった。彼女は少女にしてほうれい線らしきものが引かれている、なかなか衝撃的なキャラデザだった。『おもひでぽろぽろ』のエクボと少し近いけど。
無口なカヌーお爺さんとの交流でも可。

実際にあのお屋敷に引っ越してきた丸メガネの少女と最終的にすっかり仲良くなってるのもついていけないし、脚本のいろんな面でしっくりこなさがすごい。
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