ダジャレマスター

思い出のマーニーのダジャレマスターのネタバレレビュー・内容・結末

思い出のマーニー(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

個人的にはかなりの傑作だった。主観的な この映画の教訓は、「幸せになる事は大切だが、今自分が持っている幸せに気づくこと」と、「愛は自分で見つけられる」。

まず、ふとっちょの「普通を目指したってあんたはあんた(意訳)」と「普通ってなに?(意訳)」という発言が胸に刺さった。肉親がいれば普通なのか、普通になれたら幸せなのか、そもそも普通とは、幸せとは何かを考えさせられた。なんなら最近の多様性主義の世の中的には、普通でない事こそが幸せとさえ感じられる。最終的に杏奈は「自分はすごく幸せ」だと思えるようになり、彼女の境遇が普通でもそうでなくても幸せなものは幸せなのだと、自分が自分自身であることの喜びを感じられたのは良かった。

次に、この物語には恋愛感情、家族愛、友情の3つの愛の形が登場する。最初杏奈は祖母であるマーニーに対して恋愛感情に似た愛情を抱く描写(頬を赤らめるなど)が多かったが、最後サイロに行く頃にはそういった描写はなく、友情にも家族愛にもとれる愛情に変わっていた。これは、終盤に向けて杏奈をカズヒコと呼ぶばかりになったマーニーと、サイロに杏奈を置いてカズヒコと2人で立ち去るマーニーに対して「失恋」とは違う、家族に対して感じた「裏切り」という気持ちが全面に出ていたための推測である。
初めは孤独で想像上の人物であるマーニーとばかり遊んでいた杏奈が、徐々におばさん達と家族愛を、サヤカやふとっちょ達とは曲がりなりにも友情を自ら育んでいく家庭が空想世界にも反映されているメタファーなのかと感じた。(恐らく抱くはずがない恋愛感情を祖母に向けていた=空想の感情「恋愛」と、現実で育んできた「家族愛」と「友情」)

冒頭に前述した通り名作で、物語の後味と、最後の最後になってやっと全てが繋がったと感じられる伏線回収が爽快というダブルの点で後味が良い映画。しかし逆を言えば最後まではちんぷんかんぷんな部分が多いためこの評価とさせて頂く。

現代の日本を生きるに当たり、普通や愛、幸せの在り方を模索中の人には一度は見て欲しい映画。