イチロヲ

天使のはらわた 赤い淫画のイチロヲのレビュー・感想・評価

天使のはらわた 赤い淫画(1981年製作の映画)
4.0
ビニール本の被写体にされた薄幸美人(泉じゅん)が、ストーカー行為をはたらいている侘しい青年(阿部雅彦)に同調していく。堕ちていく女と日陰者の青年の交流劇を描いている、日活ロマンポルノ。石井隆原作の人気シリーズ第4弾。

本人の意思に反してエロ本が発行されたことにより、人生の急転直下に直面してしまう、毎度おなじみ「名美」のストーリー。女性のマスターベーション行為と青年のストーキング行為が、背徳的な高揚感の中で粛々と展開する。

中盤に入り、ストーカー青年が本格的に動き出すと、日陰者の青年の純真と堕ちていく女の同調が、鮮烈に織り込まれていく。互いに傷の舐め合い、慰み合いができるはずなのに、色キチガイのレッテル貼りにより、世間体がそれを許してくれない。

名美がフワフワした天然ちゃんに見えなくもないが、底辺部に落とされた人間の敗北の美学は、しっかりと伝わってくる。前作に引き続き、ミスター・レイプ魔こと港雄一が出演しているところも必見。
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