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ザ・ドア 交差する世界のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

ザ・ドア 交差する世界(2009年製作の映画)
3.5
Wマッツそれ何てご褒美?
ひとつの絵にWマッツというそこだけでふしだらみだらな妄想スイッチが止まらなくなったSFスリラー……(遠い目)

画家のダヴィッド(マッツ・ミケルセン)近所の女と情事に耽ってる間に愛娘レオニーが誤って自宅プールに落ちて死亡。
5年が過ぎ、妻マヤ(ジェシカ・シュヴァルツ)とは離婚し、全てに憔悴しきったダヴィッドは娘が死んだプールで自殺を図る。
未遂で終わったが、再び路上に彷徨い出たところ奇妙な蝶に導かれるまま辿り着いた先にトンネルが。
その先の扉を開けると、そこは5年前の娘が命を落とすその日に繋がっていた。

パラレルワールド+タイムリープ。

5年前は娘を救えなかったけれど、こちらの世界に来た途端、状況を把握し真っ直ぐに娘レオニー救出に走り出すマッツ。
例えバスに轢かれても立ち上がる。
流石マッツ。
そしてプールに沈んでいた娘レオニーを無事救出することが叶う。

しかし5年前のマッツ(絶賛情事中)と5年後のマッツが同時に存在している今の状態。
マッツ(絶賛情事中)が戻る前に姿を消そうとするマッツ。しかし時すでに遅しな事態に。

そしてマッツは入れ替った。

聡い娘レオニーはマッツ前後を感知し「このひとパパじゃない」と主張しますが「守護天使」の例え話をしながら過去の過ちを悔いる様子から察するものがあったのか最初は警戒した彼女もやがて懐き。娘との幸せな一時が訪れる。

次点に勘が良かったのは情事相手で「あなた変わったわ」「人は変わる」「24時間で?」というやり取りが。
ちょっと笑える😂

夫婦間が冷え切っていた妻マヤはマッツの入れ替わりに気がつくことは無く。
そして夫婦仲が修復に向かい、このまま日々は穏やかに過ぎ……てはいかない。

キーパーソンに"うるさいぞ"隣人おっさんが加わってきた途端に"秘密を漏らすな"という不穏なムードが漂い始め、やがて彼が暮らすこの地区全体の秘密を知ることに。

同じ妻でも今妻と5年後妻に抱く愛情も変化しているマッツに究極の選択が。
娘と妻と妻、どうするマッツ。

マッツをとにかく安穏とさせないストーリー展開が良い具合に緊張感に孕んで物語に引き付けられた。
SFとしては穴があり突っ込みたいけど、そこはあえて目をそらしw

ラストカットは何となくカウリスマキの映画……何だったけな……タイトル忘れたけど塾年夫婦の話の作品の映画を思い出しました。
ふたり並んで座り空を見上げる。

情事中のマッツと久しぶりに妻に触れたマッツの行為の演出の違いで、マッツが娘を失った5年間どれだけ孤独でそれが彼を変えたのか分かる……のでとても良い演出でした。
……あととても眼福🙏