イチロヲ

マザーのイチロヲのレビュー・感想・評価

マザー(2014年製作の映画)
3.5
ホラー漫画家(片岡愛之助)を担当することになった女性編集者(舞羽美海)が、稀有な作家性の根源を考究するうちに、亡くなった母親の存在へと辿りつく。漫画家の楳図かずおが監督・脚本を手掛けている、怪奇ホラー。

楳図自身を主人公に投影させながら、死生観と精神論を説いている作品。「人間は死ぬとどうなるのか」「人間は幽霊を如何にして創造させるのか」「人間の恐怖心はどこから生まれるのか」という、普遍的命題が盛り込まれている。

物語の整合性はメチャクチャだし、映画的演出にもチープさが際立っている。しかし、映画としての面白さ以前に、楳図かずおの頭の中にダイブしたような、奇妙なトリップ感に酔うことができる。77歳の漫画家の初監督作品としては及第点。

主人公の心境の変化に合わせて、着ているボーダーシャツのラインの幅が変わるという、トンデモ演出が採用されている。ここまでボーダーに拘った映画は、後にも先にもコレだけだろう。
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