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ワレサ 連帯の男のodyssのレビュー・感想・評価

ワレサ 連帯の男(2013年製作の映画)
3.5
【奥さんも偉いっ!】

ワレサと労組「連帯」といえば、戦後ポーランドを語るときに欠かせない名前です。しかしその内実をよく知っている日本人はあまりいないでしょう。かく言う私も例外ではありません。というわけで、この映画を見てみたら・・・

ワレサといえども最初から英雄的だったり賢かったりしたわけではない。色々と経験を積み、周囲の人間といっしょに闘いながら、そして何より奥さんの支えがあったからこそ、あそこまで行けたのだ、ということが分かりました。

この奥さん、実によく出来た人ですねえ(ほれぼれ)。何人も子供を生み、家事をやり、仕事もやり、夫の支えとなり、おまけに美人で、もう言うことなし! ワレサがノーベル平和賞を受賞したときには、ワレサは国外に一度出てしまうと戻って来れなさそうなので奥さんが代わりに授賞式に出るのですが、思うにノーベル賞は半分は奥さんに与えられたようなもの。世の中にこういう奥さんが増えると、男の能力は余すところなく発揮されるようになり、社会の生産性が上がるんじゃないか、なんて思ってしまいました。

他方、社会主義国であってもカトリックの教会はバカにならない重みを持っていますし、職種ごとに労組の姿勢も微妙に違っている。単に連帯を訴えるだけでは労働者の権利はなかなか通らない。本来社会主義とは相容れないはずの宗教および宗教者の役割を考えること、共産党首脳との駆け引き、押したり引いたりの時宜を心得ておくこと、など様々な要素が関わっており、これらをうまく活かすには経験も重要ながら天性の資質も与っていそう。

映画なのでワレサに関するすべてが論理的に説明されているとは言えませんが、戦後のポーランド史を知るためにはそれなりの作品と言えるでしょう。
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