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未来を花束にしてのmitakosamaのレビュー・感想・評価

未来を花束にして(2015年製作の映画)
3.8
20世紀初頭イギリスでの女性参政権を求めた活動の実話ですって。
産業革命による格差社会と、労働者階級の貧困が社会主義の温床となった時代のイギリス。
その陰鬱さを感じさせるグレーの画面。街全体が労働者の疲労に充ち満ちているかのよう。

主人公の女性も貧困の中洗濯工場で働く。旦那も貧乏、子供だけが生き甲斐。たまたま女性参政権運動にまきこまれ、そのまま活動に身を投じるようになる。

政治活動に参加する女性に厳しい社会。セクハラが横行する工場に、理解の無い夫。投獄され厳しい処分を受ける。

WSPUなる団体のリーダーが、エメリン・パンクハーストですって。
この役にメリルストリープ。最近色んな所で出まくってるな。

で、この団体のやることって基本テロリズムなんじゃ無いか?と思う。ストとデモは良いとして、投石などはダメなんじゃないか?
調べたらやはりかなりタカ派のフェミニストだったらしい。穏便派のフェミニズム活動家からは問題視されていたとも。ナルホド。

結構な過激派であるエメリンおばさんだが、演説では大勢が聞き入り、ガサ入れには身代わりをたて脱出に協力してもらう。
この辺は「ウン?」ってなったな。リーダーにカリスマ性があるのは良いが、活動家内の貧富差があるのも素直には馴染めなかったんだが。

それでも、覚悟を持って権利の為に戦う彼女らの姿には涙した。
ダービー会場のテレビ中継を利用して活動内容を訴える、というもの。
この競馬場のシーンがまたグリーンが美しく色鮮やかで、富裕層の豊かさが伝わる。貧民層の彩度の低さとの比較による貧富差の表現は見事。

かなり暴力的手段に訴えたフェミニズム活動ではあったが、確実に時代の牽引に貢献はした。テロの容認は出来ないが言い分はある。
けっして理想的なフェミニズムの活動ではないのかもしれないが、だからこそフェミニズムを考える上で非常に参考になる映画だと思う。
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