イニシエーションラブで心を鷲掴みにされた、木村文乃さん目当て。
クラスを統べる権力者キョウコ。彼女はアマテラス、空高く居坐わる太陽のような存在だった。10年後、女優になったキョウコを今度こそはクラス会に招待しようと、幹事らが動き出す。各々の思いが交錯し、キョウコを巡る忌まわしい思い出が明らかとなる。一人、また一人とキョウコの勧誘からドロップアウトしていく中、キョウコが執拗に誘いを断る理由は何なのか?
原作のあらすじはこんな感じ。多彩なキャラクター目線の群像劇と、権力者キョウコと女優キョウコを同一人物だとミスリードさせるという叙述トリックが物語に緊張感を持たせていたのに、この映画では冒頭にで明らかにするため、ミステリー要素は皆無となり、2人のキョウコの人間ドラマとなっていた。
叙述トリックもなし、自分が好きなキャラクターも省略、原作の時系列をごちゃ混ぜにして大事そうなセリフだけをピックアップしただけの脚本。かなり眠かった。
原作を読んでいたから問題はなかったけど、未読だったらストーリーは理解できなかったと思う。なぜ島津が執拗にクラス会を開く理由、水上由希のおばあちゃんとのエピソードとかは必要かな。
酔っぱらった島津からキョウコの電話番号を聞いたという嘘なら説明はつくけど、全然シラフだし島津もなぜ疑わないのか。あとキョウコは過去に囚われすぎだし、謝るべき人には謝って、高校時代の事なんて忘れてしまえばいいのに。笑
総じて原作の良さが感じられず、辻村深月が憐れだ。この作品に不満を抱いた方には、女王の失墜を描いた、朝井リョウの『スペードの3』をお勧めします。