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サード・パーソンのmjnkのネタバレレビュー・内容・結末

サード・パーソン(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2024/03 CS録画。小説家の話。ポール・ハギス監督作。途中のメモのシーンで「あれ?場所違うよね?」という引っ掛かりはあったものの深く考えず。最後になって「…えっ!?」とびっくりしました。どこをどう解釈をするかは人それぞれのようですが、群像劇に見えていたものは「小説家の書いた物語」で間違いなさそう。
メイン人物で実在するのは「小説家」「その元妻」「小説家の愛人」。あとは編集者。

小説家とその愛人の日々が全て現実のものかどうかは怪しいですが(特にラストの古本屋?に小説家の日記があるところは彼の想像か妄想のようなものが入り混じっていて、実際には愛人は日記を別のところで読んで小説の内容を知ったのだと思う)。
小説家が自分の子供の死について、また、愛人の性被害について本に書いた事自体は、元妻との電話や編集者との会話で実際の出来事と解釈しました。

全部観賞した後にもう一度気になるシーンを見返していたら、群像劇に見えていたシーンから小説家のシーンに切り替わる最初のカットが「小説家が原稿を書いている」シーンだったりして、ヒントはいろいろあったんだなと思いました。


それで、それが分かったとして気持ちよく「そうだったのか!」と言えるかと言うとそうでもないのが悩ましい。

まず、ミステリーを解いたようなサッパリした気持ちになるには話が重すぎる。
描かれる人はみんな「情緒大丈夫?」と言いたくなるところがあって、その姿にストレスを感じながらも心配しつつ観ていたので、なんかこう、「えぇ…そういうことなの…」とガッカリに近い気持ちがある。

あとはシンプルな話で、主人公に対してあんまり寄り添う気持ちになれない。
特に実際に起きていた事であろう、愛人の「父親からの性被害」について「そういう事を小説にするんだな、この人は」と思うと…うーん。元妻との会話も書き止めているので、もう現実と小説の境がなくなっている(良い小説を書くために現実を切り売りしている)んでしょうし、それがこの人の業というか、哀しさかもしれないけれど。あんまり良い気持ちになれない。

あと人の嫌なところを描くのが上手すぎる。元妻の遅刻を知りニヤニヤする元夫やイタリアで英語が分からない現地の人を馬鹿にするアメリカ人の描写は観ていて本当に嫌でした。


映画の開始が水の音→だんだんタイピングの音に変化していき→タイトルがハイライトされ→小説家が映る、というのは素敵でした。(今思うとこれもかなり大きなヒントだったんですね)
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