このレビューはネタバレを含みます
張りに張った伏線と、予告編や中盤までのSF展開で高めまくった期待値を、ほとんど消化できないまま、直接的なメッセージだけを提示した映画。
メッセージ自体は悪くない。
結論は安易すぎる気がするが(そこがディズニー的)問題自体はかなり考えさせられるし、ヴィランのニックス総督の悲観論もあながち間違いではない。
伏線はあえて回収しないことで、トリビア要素的に楽しむものなのだろうが、予告編でそこに期待しすぎてしまったためにガッカリ感は否めない。
エッフェル塔が裂けてロケット飛ぶシーンが一番良かった。
ラフィー・キャシディーが成長するのが楽しみ。可愛い。
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ディズニー要素的な解説をすると
ディズニーランドを成功させたウォルト・ディズニーは1964年、ニューヨーク世界博覧会にいくつかのアトラクションを提供します。
それのひとつが「イッツ・ア・スモールワールド」
そしてディズニー社が開発した、アトラクションに登場する人間のように動いて話すロボットのことを「オーディオ・アニマトロニクス(=AA)」と呼びます。
(スモールワールドの人形たちもそのひとつ)
映画やアトラクション政策の傍ら、ロボット技術の発展にも貢献していたというわけです。
また、劇中の「トゥモローランド」はウォルトが計画していた「エプコット」がモデル。
彼は発明家や科学者や芸術家を集めて、本気で幸せを追求する先進的な街づくりを計画していました。あまりに途方もなく非現実的な計画であったため中止されました。
なので映画の「トゥモローランド」自体も、あながち嘘ではないのです。
(「プルス・ウルトラ」がどうのこうのはこの映画の創作です)
彼の死後、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドに、その理想のコンセプトだけを残した「エプコット」というテーマパークが出来ました。
ディズニーっぽくない、と一言で片付けてしまう方々、実はこの映画、めちゃくちゃディズニーな作品なんです。
「充分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」を地でやる、ウォルト・ディズニーなりのロマンが詰まったお話です。
まぁ、映画的にも、そこのところにもっと突っ込んで欲しかったのだけど。