Torichock

トゥモローランドのTorichockのレビュー・感想・評価

トゥモローランド(2015年製作の映画)
3.9
「Tomorrow Land/トゥモロー・ランド」

未来を描くということが、いったいどれほど難しいことなのか。
ディズニーランド内でもっとも改装されているエリアであることが物語るように、過去や作られた世界観ではなく、僕たち人類の地続きにある未来を描いてるからこそ、その昔描いた未来に古さを感じてしまったり、フレッシュな夢物語として未来を捉えられなくなるたび、何度も書き換え改装されてるのは言うまでもない。
でも、僕はそれでこそウォルト・ディズニーの精神にもっとも近いようにも思えるんです。
Disneyland will never be completed. It will continue to grow as long as there is imagination left in the world.

-ディズニーランドが完成することはない。世の中に想像力がある限り進化し続けるだろう-



ディズニーの大御所ブラッド・バード監督とジョージ・クルーニー主演のディズニー映画という、これでもかというような、ビックな映画なのに、どうも白けた反応しかないので観に行ったら、同じ日に観た鎌倉四姉妹物語より全然泣けてビックリしました。

笑って泣けて上がる映画の何がダメかって?そりゃ、脚本に穴も多いし、歪なバランスでできた映画ゆえに、飲み込みづらい作品でした。でも、久しぶりに"ハリウッド映画を観たな!"という充実感に満ちていました。(MAD MAX見る前だよ、もちろん)

動物が喋ったりしなくても、雪の女王が雪の女王としての物理法則を無視した魔法を使わなくても、それこそファンタジーなんかなくても、ディズニー映画は作れるし観れるという満足感が嬉しかったです。

本作は、本当にSience Fictionでした。

科学の力や科学の力を信じる人間が未来を変えるというところが本当に好き。

特別な力を持った人だけの話、と突き放してしまうのはいかがなものでしょうか?

それこそ、僕が以前書いた"ピンポン"理論ではないですが、僕は才能がない人間は努力はしても無駄という冷たい現実は変わらないけど、それでも自分の居場所や生きる道を夢の近くで探したり、方向転換とK.U.F.U.していくのが人生だと思っているので。



セリフ回しや会話のテンポも、とてもディズニー的なスピード感で、実写映画としてディズニー感をしっかり感じましたし、実写ならではの毒っ気もたっぷり入ってて笑えるシーンはたくさんありました。

コーラ一気飲みからのゲップ、Son of a bitch!を途中で止めるギャグ"サノバッ!"も笑えましたし、何より家に襲撃してきたエージェント達の撃退シークエンスは最高に楽しかったです。

相手がロボじゃなきゃRー18確定な過剰なぶっ壊しと、ゴア描写に拳が上がりましたね。日本のレーティングを決めてる連中は、おっぱいと血が出なきゃレーティングかけないみたいだぞ!バカだな!

それに、ジョージ・クルーニーが若い女の子2人に振り回されまくるという姿は、あの傑作"ファミリー・ツリー"を彷彿せずにはいられません。

僕は、未来版"ファミリー・ツリー"だと思って見ていましたよ。

主人公の娘も可愛かったですが、個人的にはそばかすのアテナちゃんに胸キュンでしたね。

異常なアクションと奇妙ないびつ感の裏に、切なさや色気も兼ね備えていたと思うし、この子に人生を狂わされたフランクの気持ちは、わからいじゃないですよ。"ガーディアンズ"のガモーラ的な、スラップスティックなアクションもさることながら、そのアンバランスさは、ヒットガールやハルヒの長門有希推しの僕からしたら、この手のキャラクターを好きになるのは不可避でしたね。



これからを生きる若い子どもには難しいし、分かりづらいけど、それでも、そんな子供達が観るべき映画でもあるし、歳を重ね夢が夢のままとなってしまった大人たちにも、それでも、夢との付き合い方はあるんだよと背中を押されるような、そんなディズニー映画でした。
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