くりふ

ベイマックスのくりふのレビュー・感想・評価

ベイマックス(2014年製作の映画)
3.5
【暴走王子とブレーキロボ】

字幕版行けずに日本語版に行ったら、やっぱり台詞回しの妙な間延びが気になった。

お話としてはけっこう危ない橋、渡っていますね。14歳の少年に、自由に武力開発と行使をさせ、殺人未遂までやらせてしまう。『Mr.インクレディブル』の悪役少年を思い出し、紙一重だと思った。この主人公が日本人ってとこも気になっちゃって(笑)。

原作がアメコミで、日本人中心のヒーローチームもの、とまでは知っていたのですが、まだ日本製品が絶大に信頼されていた頃に描かれたものなのでしょうか?

マーベルコミックなのですね。ベイマックスがあまりにクリソツなアイアンマンスーツを着始めたので驚いちゃって(爆笑)。飛翔シーンもパロディかと思うほどソックリ。そっちが気になって爽快感減速。そういえばラストのオマケ映像も、マーベルのあの方ですよね?日本で笑える人どれ位いるんだろう?

ヒーローチームもの、に変貌するのはすごく唐突でした。このヒーロー6、自分たちが何やってるかわからぬまま突き進むようでコワイ。あの島への突撃、まるで他国侵略のようでした。そもそもいくら科学オタクだからって、秀才大学生らが14歳少年に、ここまでイニシアチブとらせるだろうか?

そんな中、ケアロボットであるベイマックスが、暴走する主人公のストッパーになっているところがオモシロイ。これは本来、大人が子供と交流する中で教えるものでしょう。

しかし本作は、子供を導く真面な大人はほぼ絶滅、と描いている。これ、意図的でなく何気に描いているならコワイ。この構図は『キック・アス』も思い出します。

子供が殺しも含むヒーローごっこにいきなり突入してしまうのを手放しで描き、それを止めるのをロボット任せにしている。…SFですね!(笑)

しかし、こうした殺伐とした展開をするからこそ、やがて少年が機械の中に「保存」された心を見つけた時、大切な宝物のように映るのでしょう。この着地はディズニーらしく保守的ですが、やっぱり安心しますね。

お話のスケール感は、ヴィランとなる大人に子供みたいな行動をさせるのでみみっちい感じがしました。これならTVシリーズでコツコツ語った方が向いているな、と思います。子供がヒーロー業を続ける中で、次々難題、出てくるはずで、どう対処するかをみてみたいものです。

<2015.2.16記>
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