HUL

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生のHULのレビュー・感想・評価

2.0
久々にヒドもんを食わされたという感想が出てくるのは、やはり事前にそれなりの期待をしていたからだろう。
脚本の力が弱く、演出のハリボテ感が前面に押し出されてしまったような映画。
まずバットマンだがおなじみの両親の死をダイジェストで見せたあと、地球で戦ったスーパーマンに憎悪を掻き立てるまでに筋道が立っておらず脈絡がない。
一方のスーパーマンは、バットマンを追いかけようとするがこれまた「なんで?」という脈絡のなさ。
さらにレックスルーサーもどうやら2人を対決させようとしていたっぽいが、結局制御不能のモンスターを復活させるなど何をしたいのかわけがわからない。
それらを大仰なハイスピードや意味深なセリフでメリハリのない演出がされた結果、役者たちの熱演が完全に空回りしている。
そもそもスーパーマンが世論を敵に回したきっかけになった砂漠の虐殺も、世間にどう誤解されたのか、なぜ誤解されたのかの説明がなく観客の思考がその先に進めない。
銃で虐殺された敵がいて、なぜスーパーマンが犯人であるとされるのだろう?
バットマンがスーパーマンに憎悪を掻き立てるシーンも夢でした、という思わせぶりのこけおどし演出を多用して飽きがくる。
きわめつけはワンダーウーマンなどの「メタヒューマン(?)」で、この映画単体では完全に別軸の添え物であって、クライマックスに絡めるべきではなかったようにしか見えない。

スーパーマンとバットマンを戦わすという無茶な設定は非常に寓話的なものなので、リアルな日常も描かざるを得ない「映画」では難しく、「コミック」でしか成立しないのかも。
HUL

HUL