こたつむり

バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.8
『DCエクステンデッド・ユニバース』第二弾。

あー。これは。
ヒーロー映画としては失敗作。
と、断言できてしまうほどに分かりづらい作品でした。

ヒーロー映画の大前提は気軽に楽しめること。
つまり、子供も大人もお姉さんも“頭真っ白な状態”で臨むべきジャンル。それなのに、本作は“予習”を求めてきているところからして…完全に大人向け(しかも一見さんお断り)なのですな。

ちなみに予習すべき作品は。
前作『マン・オブ・スティール』は当然のことながら、『バットマン』シリーズと原作の『ジャスティスリーグ』にも触れておいた方が良いでしょう。でないと、伏線に囚われて本筋を見失うことになります(それらを短時間で予習できるのが『レゴ・DCスーパーヒーローズ』。どの作品から鑑賞すれば良いかは…僕の感想を参考にしてください←宣伝)。

そして、ヒーロー映画を含む虚構系の作品で。
細心の注意を必要とする“夢”の表現も拙いのです。そもそも“ヒーロー”の存在自体が虚構なのですからね。足元を覚束なくするような演出は避けるべきなのです。この辺りも「不用意過ぎた」と言われても仕方がないでしょう。

だから、ラズベリー賞(脚本)も仕方ない話。
…なのですが、脚本の隙間を埋めるように“キャラクタの知識”と“固定観念に囚われない柔軟さ”があれば、これほどまでに面白い“映画”はないと思うのです。

例えば《バットマン》の造形。
“人類の正義”を追求する割には、他人を簡単に信用しない“頑なさ”を持った愛すべきキャラクタ。それが解っていれば、説明不足すぎる“あの場面”の変容が心に沁みるのですな。うは。

また、《スーパーマン》の造形も。
やはり、前作の“父子関係”は伏線でした。「自分がどうあれば良いのか」と真っ直ぐながらに悩みだした姿は最高に熱く。スタッフクレジット前の刹那を含めて、今後が気になる次第なのです。まあ、欲を言えば、もう少し“世間が抱く彼の印象”を知りたかったところですが。

まあ、そんなわけで。
語りだしたら止まらないほど、素晴らしいポテンシャルを持っている作品なのですが…何しろ“伏線”は多すぎるわ、観客に“予習”を求めるわ…でハードルが高いのが難点。でも、『マーベルシリーズ』には無い“渋み”を楽しむヒーロー映画ですから、予習してから臨めば…ハマれるかも?

To be continued…→→→『スーサイド・スクワッド』
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