ゴン

ジャージー・ボーイズのゴンのレビュー・感想・評価

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)
4.8
4人で語り部を回す構成を筆頭に、場面転換がいちいち完璧!特に回転扉の回転率の良さが首尾よく反映されていたのが美しい、最高に楽しい。こういった場面転換の美しさが伝記物には欠かせないんだなー。
会話のディテールも完璧。まずすごく自然でおもしろいし、会話に耳を傾けるだけでそれぞれのキャラクター性がすぐ分かる。そしてみんな大好きになっちゃう。
ジャージーの流儀が根底に流れてるフランキー、トミー、ニックと、その線からは一歩引いたボブとの出会いが最高の化学反応を起こすも、歪みが生まれて、弾けてしまうしょっぱさよ…。圧倒的にトミーが悪いようにも見えるけど、いや実際そうだと思うけど、人間関係の機微というか、些細なことの積み重ねですれ違いは生まれていくんだなあ。そのしょっぱさを場面の見せ方、会話のディテールで極上の味わいに仕上げているところが本当にすごいと思うよ。
一方、絶対に失ってはならないものがあっけなく失われてしまうのもまた、伝記物特有のしょっぱさ。そこを乗り越えるのだけは本当に難しい。ある人生に起こった出来事、想像を絶するほどの悲痛を個人がどのように捉えたのか描ききることはほぼ不可能に近いんだろうけど、そこを音楽で補完して言いようもなく涙を誘う。
そしていわずもがな、これは最高に最高の音楽映画なわけですよ。こればっかりは、好き、最高、楽しい以外の語彙を失いますわな。
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