くりふ

ゴーン・ガールのくりふのレビュー・感想・評価

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)
3.5
【婦唱夫随】

原作未読。やっぱフィンチャー監督は映像技巧師で、語り部としては饒舌だ。この話、巧い人ならここまで時間かけないと思う。特に前半の締まりが悪くて少し寝た。

よかったのは「地雷夫婦」が出来上がる終盤。でも状況の面白さ止まりで、人生のドラマとしてはお膳立て揃ったところで終わってしまった。結局ハッタリぽかったなあ、というのが初見での所感です。

フィンチャー映画史上一番ウケたそうですが、それだけアメリカでは夫婦間の制御が難しくなっている、という証なのでしょうか。

しかし本作は、夫婦の闇をモンスター化することで現実逃避できる効能?も秘めていると思います。あんな人おらんわ…と逆に安心できちゃうからね。

夫役、ベンちゃんの微妙なおマヌケぶりがお見事。元からこういう人なんだ、とどうしても感じてしまう。

一方の妻役、ロザムンド・パイクさんは、昆虫みたいな瞳をするところが凄かった。

TV画面を通して夫と「再会」するシーンは本作の白眉で、フィンチャー作品では滅多に感じない、技巧でなく映像そのものから匂い立つもろもろに少し、酔いました。

次はもっと短い作品つくって欲しいですね。この人の映画って、いまだにどこかバブルを引きずっている気がする。それが聖林第一線で娯楽映画を撮り続ける秘訣なのかな、とも思いますけどね。

<2015.3.3記>
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