エイプリル

ゴーン・ガールのエイプリルのネタバレレビュー・内容・結末

ゴーン・ガール(2014年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

2時間以上もある映画なのに全く中弛みすることもないすごい映画でした。
ストーリーが展開されるにつれて伏線も張られていくのですが、その伏線を隠そうとしすぎず、視聴者に的確にヒントを出してくれるのでこっちも頭が良くなった気分です。そんな感じで話の進め方が上手いので、二つの視点から語られる複雑な話のはずなのにスッと内容を理解できました。

自然な流れの中でじわじわ主人公夫妻が追い詰められていく感じがすごい良くて、これコリングスも警官も悪意を持ってるわけじゃなくて、普通に自分のやるべきことをやってるだけなんだけど、それが悪い方向に動いてしまって、成り行きでどんどん不穏な方向に進んでいってしまう…っていうのは展開に無理矢理感もなくてよかったです。
コリングスちょっとストーカー気質っぽくはあったけど、殺されるほどのことは何にもしてないのに可哀想だったな…それだけにエイミーの被害者ヅラ、かなり腹立った。

エイミーといえば彼女を「サイコパス」と呼ぶ声も多いですし、確かにそれはそうなんですが、彼女は彼女で幼い頃から完璧なエイミーに全てを奪われて、そのために全ての事柄が「奪い合い」になってるんですよね。だからテレビの会見で主人公が「改心します」みたいなことを話してる時に乙女の視線で食い入るように見つめてしまうわけで、ある意味ちょろいと言えばちょろい。主人公のことに嫌気が刺したというよりも、「奪うほどの価値がないから奪い返す」という発想をしてるだけで、彼女の幼児性みたいなものの表現がよかったです。だから最後の「結婚とはそういうもの」というエイミーのセリフが映画及び彼女の人生を総括していてすごかったです。

あとはやたらとメディアの表現が多かったですが、もしもこの世界に自分が存在していて、テレビの情報だけでこの事件を追ってたらどうなってただろう、みたいな視点で観ることもできたのも新鮮な体験でした。事件の表と裏の面のうち、表だけ見て数日後には忘れてるか美談にしてそう、みたいにも思ってしまって、考えることの多い映画でした。
実は前情報で「夫と妻の言い分が違う映画」みたいなことは知ってたんですが、それでも十分に楽しめました。そういうどんでん返しに頼りすぎず、一つ一つの演出、展開、全体をまとめるテーマの全てがハイレベルで、まさに完璧な映画でした。
オチがちょっと地味で好みではなかったんですが、それでも最後の最後までどう着地するのかわからない緊張感はありましたし、あのエンドもこの映画らしいとも思えました。

個人的に好きなシーンは、エイミーがゴルフで浮かれてジャンプしてポケットから札束が飛び出すシーンです。アホすぎる。
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