なちゅん

白鯨との闘いのなちゅんのレビュー・感想・評価

白鯨との闘い(2015年製作の映画)
3.9
壮絶…これが実話だというんだから恐ろしい。世の中には私の知らないことがあまりにも多すぎる。
それでもこの映画に関して言えば、いっそこの際どこまでが実話でどこからが創作なのかとかはどうでもよくて、登場人物それぞれの葛藤や苦悩に満ちた表情や言葉の重さにぐっと心を掴まれる。オーウェン・チェイスとジョージ・ポラードの関係性や、それぞれが与え合った影響や、surviveしたあとの人間的な変化が丁寧でありつつ、ごくナチュラルに織り込まれていてすごく良かった。
全て実話だったのだと知るのはそのあとでも十分。

オーウェン・チェイスの自信満々なところや少しの傲慢さ、その裏にある愛情深さや実直さが全部良かった。実力と素質が揃っているのに船主、船長たちから見下されていて、いつか船長にと野心でいっぱいの彼をクリス・ヘムズワースが好演しているのだけど、微妙な表情を繊細に使い分けるその優れた演技力が存分に発揮されている。あと19世紀の船乗りのクラシックな衣装が似合ってて眼福。
ジョージ・ポラードにはベンジャミン・ウォーカーの他にカンバーバッチやヒドルストンの名も挙げられていたらしいけれど、素質に関係なく家柄で人生が決まってしまっていたポラードの迷いや葛藤、自信のなさと強がり、そして漂流中の彼を描くにあたってベンジャミン・ウォーカーで完全に正解だった。
あと何と言ってもマシュー・ジョイのキリアン・マーフィー!今作でもあのアイスブルーが効果的にアップで使われていて見惚れた…
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