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天使のはらわた 赤い眩暈のYuki2Invyのレビュー・感想・評価

天使のはらわた 赤い眩暈(1988年製作の映画)
3.4
1988年製作のロマンポルノで、正にロマンポルノ終幕間際の作品ですね。かつ、あの石井隆の初監督作品とのコトなのです。だから(ある意味)当然『天使のはらわた』シリーズの一作…ではあるのですが、中で私が観たコトのある『赤い教室』と『赤い淫画』(『ヌードの夜』は別にして)と比べても、お話は率直にややかったるい…(特に後半…)という感じですね。男と女2人が転げ落ちてゆく前半は(シリーズの恒例とは言え)そこそこ興味深く観れますが、転げ止まってからがちょっと大人し過ぎるのですよね(竹中直人も妙にしおらしくなっちゃって)。この頃のロマンポルノらしく濡れ場は比較的ハードで長尺…でもあるのですが(その後半にはかなりねちっこく絡み合ってますが)コッチはちょっとボカシが多すぎる…(チョイ残念…)という気もしましたかね。

ただ、満を持しての石井隆初監督作だからなのか、またロマンポルノとしては(特に画づくりの面で)色々と割かし凝ってたよーにも思いました。まずはロケーションが揃って中々好い感じで雰囲気ありましたし、カメラを大胆に動かす長回しも工夫があって好みでした(名美が同棲相手の浮気現場に踏み込むシーンのとか、かなり好きですね)。そしてオーラス、コレもまたシーンとしてはごく緩慢だとは思いますが、一発『テネシー・ワルツ』流して気怠く終わる…てのも(個人的には全然)ピンと来なくはなかったかな…とも。好さが単純で分かり易い「ロマンポルノ」とは少し違うかと思いますが、シャレオツ系のアングラ映画としてはソコまで悪くもねーかな、と(殊に初監督作だってなら)。
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