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楽園の瑕 終極版のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

楽園の瑕 終極版(2008年製作の映画)
4.7
砂漠の宿屋。“西毒”こと欧陽峰(レスリー・チャン)は殺し屋の元締め稼業を営んでいた。彼は白駝山に生まれ、早くに両親を亡くし、兄に育てられた。
彼は高名な剣士となる野望のため、恋人(マギー・チャン)を捨て、残された彼女は兄と結婚した。
毎年春、親友の“東邪”こと黄薬師(レオン・カーフェイ)が訪ねて酒を飲んでいく。恋多き彼は男装の剣士・慕容燕(ブリジット・リン)に愛されながらも彼女を捨てた。
妹の媛(ブリジット・リン=二役)なる存在になりすまし、二重人格者になるまで思いつめた彼女は、数年後、独狐求敗という謎の女剣士として生まれ変わった。
妻・桃花(カリーナ・ラウ)を薬師に奪われた親友の剣士(トニー・レオン)は、失明の病に冒されながら馬賊と戦い死んだ。
その代役で馬賊退治をした洪七(ジャッキー・チャン)という裸足の剣士は、敵討ちの請負人を探して宿の前に佇み続ける狐女(チャーリー・ヤン)に思いを寄せ、彼女の仇討ちで傷つき、癒えると妻(バイ・リー)と北へ向かった。
3年後。彼は蛮族の首領“北夷”となり、後年、大雪山で欧陽と対決し、両者絶命した_
立春後。今年はなぜか薬師が来ない。そこへ白駝山から一通の手紙が届く。
兄嫁は、2年前に病していたのだ。
薬師が欧陽を毎年訪れたのは、彼女に会うための口実だった。6年後。薬師は桃花鳥に隠居。自ら鳥主と称し、“東邪”とも呼ばれた。
間もなく欧陽は砂漠を後にした。翌年、彼は白駝山に戻るのだった。
「恋する惑星」「天使の涙」で若者に熱狂的な支持を受けたウォン・カーウァイが、剣士たちの生き様を描いた作品。 独特な演出と映像美で有名になったウォン・カーウァイが武侠映画に挑みましたが、いつものウォン・カーウァイ映画でした。
印象的なセリフも多く、「思い出は苦しみの元」「別れてから愛の深さに気づく」「首を素早く斬られると飛び散る血の音はそよ風のようだと聞くが、その音を自分の首で聞くとは」「何かを忘れようとすればするほど忘れられない」などウォン・カーウァイ独特の文学的なセリフが、テーマである過去からは離れられないが不幸の源でもあるということを絶妙に表現しています。
レオン・カーファイに弄ばれたブリジット・リンが恋煩いの結果に二重人格になり、お互いに狙い合うエピソードや親友を愛した奥さんが許せないながらも放浪を続けるトニー・レオンのエピソードや、兄嫁とレスリー・チョンとレオン・カーファイの複雑な三角関係などが、心に切ない後味を残します。
アクションでは、トニー・レオンと馬賊とのバトルやジャッキー・チョンと盗賊とのバトルが、独特のハイスピードカメラでのスローモーションで描かれ、ウォン・カーウァイ独特の様式美があります。
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