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フランシス・ハの女のレビュー・感想・評価

フランシス・ハ(2012年製作の映画)
4.0
「27歳は若くない」
はぁ。非モテの27歳女の私にはキツい映画だ!何度か眩暈がしました。笑
白黒の映像。色が無いおかげで、パリもニューヨークも全然美しくないし代わり映えしない画。観始めたときはワクワクする描写も多くて“最初のワンピースは朱色かなぁ!”とか勝手に考えて。楽しいシーンは不思議とカラフルに見えるのだ。けれど。…すごいんだ、これ。


周りは前進しているのに自分は変わらないどころか、どこに行っても“自分”が確立していかない。同世代より収入がなくて、でも一端の譲れないところはあって。あぁ、中盤までのこの感じ、分かってしまう。

i love youを多用する様も印象的。これが痛々しさを増長させていますね。
私はどうしても、ここまで“率直”じゃないからi love youの言葉はもっと丁寧に発したいし、《best friend》を容易く言い合う関係も苦手。だからフランシスたちの言動が理解できないなぁとは思いつつ…でもやっぱり分かってしまう。
なんだろう、どうしてこんなに刺さるんだろう。

図々しくて、不安定で、こんなしんどい映画、他にあるかしら。


まだレビュー続けていいですか?笑
これね、仕事だけじゃなくって。結婚も妊娠・出産も子育てもしていない私が、それらを経験した仲間と接して感じた距離感も蘇る作品なのです。
『私は独り身だから、いつまでも自分自身のことしか話せなくてごめんね』って思うときがあるんですよ、皮肉っぽいけど。(あ、でも自分が出産育児に関与する仕事をしている分、会話は成り立つのだけれど、どうせ仕事としてだし)経験が違うところの埋め方がわからない。始めから終わりまで、どうしていいか分からないよ。

いい作品なんです。ずっと目尻に涙が留まっていて、流れ落ちないような作品。悔しい、という感情でしょうか。この27歳のもどかしさを、フランシスという大袈裟なキャラを用いて表しきっている。少なくとも私には効きました。悔しいです
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