アキラナウェイ

夜のとばりの物語のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

夜のとばりの物語(2011年製作の映画)
3.5
空を覆い隠す漆黒の闇。
夜の"とばり"が下りる頃。

好奇心旺盛な少年と少女は、古びた映画館で映写技師と共に6編の物語を紡ぎ始める。

「狼男」
「黄金の都と選ばれし者」
「嘘をつかなかった若者」
「ティ・ジャンと瓜ふたつ姫」
「タムタム少年」
「鹿になった娘と建築家の息子」

フランスアニメーション界の奇才、ミシェル・オスロ作品。

もう、ひたすら
美しいその画に酔い痴れる。

二次元で描かれる影絵風のアニメーション。
人物は全て黒でありながら、
シルエットで個性的な髪型や
時代特有の衣装を魅せるセンス。

チベットの山を朝日が照らして黄金に輝く場面や、エメラルド色に煌めく妖精の宮殿…。
黒で描かれる人物とは裏腹に背景にはふんだんに色を使うから、コントラストが極上の美しさを引き立てる。息が止まる。あ、それは嘘。

二次元
影絵風
横移動

つまり「サザエさん」のエンディングで、家族皆んながお家に駆け込んで、お家が大きくバウンドするあの画を想像してもらうと1番わかり易いけど、アレの20倍美しい。

愛のお伽噺を紡ぎ合わせた6編。
ストーリーには然程惹かれないが、
何せヴィジュアルで心を持っていかれる。
ポストカードが欲しくなる。

お盆休みが明けてしまう。
その夜のとばりは既に下りてしまった。
嫌だ。死ぬ程嫌だ。
今宵荒ぶる思いを鎮めてくれるのは、
こんな作品なのかも。